第25回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原裕次郎記念館協賛)が6日、決定した。内田けんじ監督(40)が前作から4年ぶりの「鍵泥棒のメソッド」で監督賞を初受賞した。「役者さんがすばらしかったからこそ」と堺雅人、香川照之、広末涼子らに感謝した。

 前2作は時間の流れをいったんバラバラにして再構成する作りや軽快なテンポで注目された。今作まで4年の間が空いた。「早く撮りたかった。企画を探し、脚本を書き、うまくいかずという感じでした」。映画作りの底流には「自分がワクワクできるかどうか」があるという。ワクワクがなければ撮れないのだ。

 「鍵泥棒-」は「撮影中も編集中もワクワクしてました。役者さんがどんな顔を見せてくれるか、このシーンに音楽をのせたらどうなるかとか」。時間軸ではなく、登場人物の男2人の入れ替わりで話が進む。

 意識しているのは「スクリューボールコメディー」だ。とっぴに思える設定で登場人物たちが騒動や恋愛を繰り広げていく。綿密な脚本と軽いコメディーが融合。内田流といえる独自のコメディーを築き上げた。

 「漠然とした構想は20本くらい。ホームランみたいなアイデアはそうそうないですがワクワクできるかどうかです。次はもっと早く撮りたいですね」と笑った。【小林千穂】

 ◆鍵泥棒のメソッド

 売れない役者で無職状態の桜井武史(堺雅人)は、銭湯で見掛けた羽振りの良さそうな男(香川照之)が、足を滑らせ頭を打ち、救急車で運ばれる騒動に遭遇。とっさに自分と男の荷物を交換する。翌日、男が記憶をなくしていることを知る。男は自分が何者なのか探そうとする中、出版社で働く香苗(広末涼子)に出会う。

 ◆内田(うちだ)けんじ

 1972年(昭47)7月30日、神奈川県生まれ。92年サンフランシスコ州立大芸術学科映画科入学。映画製作、脚本を学んで帰国。自主製作した「WEEKEND

 BLUES」がぴあフィルムフェスティバルで企画賞などを受賞。05年「運命じゃない人」で劇場用映画デビュー。08年の2作目「アフタースクール」撮影後に結婚した。血液型B。