第25回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原裕次郎記念館協賛)が6日、決定した。

 「わが母の記」「ツナグ」に出演した樹木希林(69)が2度目の助演女優賞を受賞した。「わが母の記」では年老いていく母、「ツナグ」では松坂桃李が演じた主人公の祖母を演じた。「わが母-」では、実年齢よりも約20歳上まで演じた。体が小さくなっていく姿は、樹木本人が本当に年を取ってしまったと錯覚するくらいだった。

 「本当に何にも大変じゃないの。扮装(ふんそう)で役作りの7、8割は決まるの。それに応じて体を縮めていけばいいだけなの」という。そう言いながら、いっそう年老いた表情になるよう、部分入れ歯も外した。映る側の人間としてはかなりのチャレンジだ。

 「部分入れ歯になった時、何かに使えると思った。義眼になった時もそう。元取ろうって思ってるだけ。元取っておいしいものでも食べたいなって思うだけ」と笑う。「元を取ろう」と考えていることは、まだあるという。05年に乳がんの手術を受けている。「おっぱいが片一方しかないから、これで何かできないかなって。自分の体も含めて物体だと思ってる。でも周防監督は、やっぱり奥さんのヌードがいいだろうし、樹木希林のヌードじゃないだろうって思うでしょうね、ふふふふ」。

 来年は70歳。「社会にお返ししなきゃいけない年齢だけど、無責任にぷらぷらして、いただける側にいる方が性に合っている」という。観客を楽しませることで、十分にお返ししているのではと言うと、手紙を読み始めた。NHK紅白歌合戦の審査員のオファーだった。「『わが母の記』で人々を深く感動させたことが理由」と書いてある。「私、紅白歌合戦大好きなの。いいことあるのね」と笑った。【小林千穂】

 ◆わが母の記

 小説家の伊上洪作(役所広司)は、幼少期に両親と離れて暮らしていた。捨てられたようなものだと軽口を言うが、その思いを引きずっていた。父が亡くなり、母八重(樹木希林)は少しずつ物忘れがひどくなっていく。母の姿にいら立ちや戸惑いを隠せないが、母の本当の思いを知ることになる。

 ◆ツナグ

 高校生の歩美(松坂桃李)は、亡くなった人と会わせる使者ツナグを務める祖母(樹木希林)の見習で(1)死者に会えるのは生涯1度、1人だけ(2)死者も生者に会えるのは1度だけ。依頼はNG(3)会えるのは月の出た夜に夜明けまで、と客に伝えるのが仕事。横柄な中年男、同級生らの依頼を仲介する中、存在意義を考え始める。

 ◆樹木希林(きき・きりん)本名・内田啓子。1943年(昭18)1月15日、東京都生まれ。61年に文学座研究生に。当時の芸名は悠木千帆。64年ドラマ「七人の孫」で演じた東北弁のお手伝い、おとしさんで注目され、「時間ですよ」などに出演。77年に改名。73年に歌手内田裕也と結婚。映画代表作は「鶴-つる-」「半落ち」「悪人」「歩いても歩いても」など。