「五体不満足」の著者で作家の乙武洋匡氏(36)原作の映画「だいじょうぶ3組」が23日、公開初日を迎え、都内で行われた舞台あいさつに主演のTOKIO国分太一(38)栄倉奈々(25)乙武氏らが登壇した。乙武氏が小学校教師を務めた体験を基に描いた小説の映画化で、同氏は「伝えたいメッセージがゆがめられないか不安もありましたが、しっかり伝えてくれていた」と感謝した。

 自身も出演し、モデルとなった「先天性四肢切断」という障害のある教師を演じた。赴任した学校で、最初は驚かれながら、体当たりで児童たちにぶつかっていく。乙武氏を助ける補助教師を演じた国分との友情も描かれ、国分は「『人はみんな違ってもいい』ということを、この作品で気づけた」と話した。

 学校でのいじめや体罰が問題になっている昨今、同作を現状打破の切り札に期待する声は大きい。既に文科省推薦作品となり、法務省の子供の人権を守るキャンペーン、警視庁のいじめ撲滅キャンペーンなどとのタッグも始まっている。2月から東京都教育委員に就任した乙武氏も、今年だけでも100件以上の取材を受け、精力的にPR活動。この日は「出演はこれが最初で最後と思います。次はないだろうな…と思いながらも、犯人役をやってみたいですね」と、ちゃめっ気を見せた。国分も乗って「お供しますよ!」と笑った。

 一方で、最後に乙武氏は国分への感謝を口にした。「国分さんなしに映画は成り立たなかった。国分さんという友人を得られたことも財産です」。その神妙で誠意のこもった話に、登壇していた児童役の子役たちも、撮影を思い出して感極まり涙した。【森本隆】

 ◆だいじょうぶ3組

 乙武氏が07年4月から10年3月まで、東京・杉並区の小学校で任期付き教員として勤務した実体験を基に書き上げた10年発表の小説が原作。乙武氏が演じる教師赤尾慎之介を、補助教員として助ける親友の白石優作(国分)の視点で描く。2人が試行錯誤しながら、5年3組の児童28人と心を通わせていく物語で、栄倉奈々は白石の恋人役を演じている。