体当たり演技の裏に、もう1人の自分がいた。女優高岡早紀(40)。主演映画「モンスター」(大九明子監督)が27日に封切られる。醜い容姿から「バケモノ」と呼ばれた女性が、美容整形で美女へ生まれ変わっていく姿を描いた作品。特殊メークに挑戦し、濃厚なラブシーンではフルヌードも披露し、公開前から話題になっている。不惑を迎えても衰えぬ好奇心、パワーの源という3人の子供との関係について聞いた。

 高岡が演じたのは、生まれながら容姿に恵まれなかった女性。正反対の立場にいるはずだが、出演を引き受けた理由は明快だ。「特殊メークは(お岩を演じた)『忠臣蔵外伝

 四谷怪談』以来で久しぶり。あそこまで違う人物になることに興味があった。好奇心が強いんです」。女優として醜い姿をさらすことに迷いはなかったのか。「女優の高岡早紀とプライベートの高岡佐紀子を分けていて、早紀さんには、佐紀子から『好きなようにやって下さい』という第三者的な感覚なんです。マネジャーに近いかも知れないですね」。

 プライベートの「佐紀子」として、特殊メークを施された自分の姿に子供たちも驚いている。「ポスターしか見せてないんですが、撮影中に写メを送ると『えっ、誰?』という反応。それからカラオケ店で撮影をしていた時、偶然、子供の友達に会っちゃって。『何でここでカラオケやってるの』と普通に聞いたら、みんな『誰?

 誰?』みたいなことに。メークをしているから、分かりませんよね(笑い)」。

 風俗店で働いている場面やクライマックスのラブシーンでヌードも披露。年齢的に抵抗はなかったのか。「私はそういうところで仕事をしていないんです」と気にしていない。判断基準は明確だ。「やりたいことをやればいい。やりたくなかったらやらない。将来の展望があるかと言ったらない。今が楽しいのが一番。楽しいことを積み重ねていくことで将来がもっと楽しくなるんだろうなって思います」。まずは目の前のことを大切に生きる。それが信条だ。

 仕事を離れた時、最高の楽しみは3人の子供たちとの触れ合いという。長男は15歳、次男は13歳、そして長女は2歳だ。「子供がいなかったら、ここまで一生懸命に仕事をする意味もない。先日もロケで家を離れたんですけど、帰宅して子供と一緒に寝たら、それだけで心の満たされ方が違いました。遊んだり歌ったり励まされています。子供たちのおかげで美しさ、若さ、元気さが保てます」。兄2人が小さな妹の面倒をみてくれることに感謝している。「私が娘に甘えて抱いてもらったりしてます(笑い)。だから今度は『私ってこんなにいいお母さんなんだ』という姿を見せられる役をやりたいですね」。【森本隆】

 ◆高岡早紀(たかおか・さき)1972年(昭47)12月3日、神奈川県生まれ。88年「マドラス」CMで脚光を浴びる。89年「cfガール」で映画デビュー。94年「忠臣蔵外伝

 四谷怪談」で日刊スポーツ映画大賞や日本アカデミー賞の主演女優賞を獲得。95年写真集「one、two、three」のヘアヌードが話題に。96年に俳優保阪尚希と結婚後、97年に長男、00年に次男を出産。04年に離婚後、10年に長女を出産。163センチ。A型。

 ◆「モンスター」

 作家百田尚樹氏の同名小説の映画化。幼いころから醜かった和子(高岡早紀)は同級生からは「モンスター」と疎まれ、家族からも厄介者扱いされてきた。高校時代に起こした事件をきっかけに故郷を追われ、風俗で働きながら都会で生活する。ある日、雑誌で見つけた美容整形に興味を持ち、手術を受け、美女に生まれ変わる。故郷に戻りレストランを開いた和子は、高校時代に思いを寄せた同級生(加藤雅也)と再会する。