【カンヌ(フランス)20日=村上幸将】三池崇史監督(52)が、コンペティション部門ノミネート作品「藁の楯」でカンヌに刺激を与えると宣言した。同日行われた公式会見に、主演の大沢たかお(45)と松嶋菜々子(39)とともに出席した。ノミネート段階から、エンターテインメント色が強く、「カンヌ向きではない」と言われてきたが、最高賞パルムドールの可能性について聞かれ、「1つの刺激になれば」と力強く言い切った。
柔らかな切り返しだった。三池監督は、パルムドールについて聞かれると、笑みを浮かべながら答えた。
三池監督
いただければいただきたいとは思いますが、自分はなかなかそういうタイプではないと思うし、映画祭の中で1つ、少し毛色の違った作品ということで、映画祭を楽しんでくれる観客のみなさんの、1つの刺激になればと思っています。我々はここで上映して、見ていただくだけで十分幸せに感じています。
カンヌは11年の「一命」で初のコンペティション部門にノミネートされ、昨年は「愛と誠」がミッドナイトスクリーニング部門で上映され今年で3年連続。芸術的作品が評価される傾向は熟知しているだけに、緊迫感あふれるエンターテインメント性にこだわった「藁の楯」が、カンヌにそぐわない作品であることは自身が一番分かっていた。それだけに、ノミネート時は驚いていた。
カンヌ入り後、主催者にノミネート理由を含めた疑問を率直に投げかけると「何の問題もない」と言われたという。それを境に「見る人によっていろいろな発見をしてもらう作品。何の先入観もなく作りたいものを作りたいように作ることが大事。そこを見てほしい」と、言えるようになった。
30年前、師匠の故今村昌平監督が「楢山節考」でパルムドールを受賞した。「今村さんからは直接、言葉ではないですが、自分にあるものを見詰めて撮っていく。自然に表現すれば違いが出る、それが個性と学びました」と、その教えを壇上でかみしめた。
三池監督の余裕の姿に、急きょ日程を繰り上げ、会見に参加した松嶋もリラックスした様子で思いを語った。98年1月にテレビ朝日系で放送されたドラマ「劇的紀行
深夜特急‘98~飛光よ!
ヨーロッパ編~」のロケで、大沢とともにカンヌを訪れたことを振り返り「16年ぶりです。まさか同じ方と来ると思わなくて、運命を感じます」と笑みを浮かべた。
◆「藁の楯」
財界の大物・蜷川(山崎努)の孫娘が惨殺され、8年前の少女暴行事件で逮捕され、出所したばかりの清丸国秀(藤原竜也)が指名手配された。清丸は行方をくらましたが、自分を殺したら謝礼10億円を払うという広告を蜷川が大手全国紙に出したため自首。その清丸を九州から東京の警視庁に移送するため、銘苅(大沢)と白岩(松嶋)ら5人のSPが警護役として派遣された。5人は残忍な清丸を守ることが正義なのか葛藤する。




