女優真木よう子(30)が2日、都内で行われた主演映画「さよなら渓谷」(大森立嗣監督)のモスクワ映画祭審査員特別賞受賞会見で喜びを語った。作品は同映画祭コンペティション部門に出品され、日本映画として48年ぶりに同賞を獲得した。

 この日は笑顔も見せたが、「当たり前のことではない。おごるなよと自分に言い聞かせつつ、光栄だし名誉なこと。これから仕事をしていく上での自信をもらいました」と謙虚な姿勢も見せた。

 7年ぶりの主演映画。真木はレイプ被害者にもかかわらず、加害者男性と結婚したという異色の役柄に挑み、同賞受賞に貢献した。同映画祭には現地入りして、公式上映にも立ち会った。受賞が発表された6月29日の閉会式で感激の涙も流した。これについて「言いたくないなぁ」と苦笑しながら、公式上映前に原作者の作家吉田修一氏から手紙をもらっていたことを明かした。

 「とても泣きそうだったけど、何の結果も出していなかったから我慢した。賞をいただいた時、やっと涙が流せると思って。でも、実は前夜に1人で(手紙を)読んで泣いてました」。

 モスクワから最初に受賞を報告したのは母親だったという。「お母さんは応援してくれていたので、日本時間で夜中でもすぐに出てくれて。泣きながら喜んでくれたのですごくうれしかった」。

 5月のカンヌ映画祭では出演作「そして父になる」(是枝裕和監督)が審査員賞を受賞したばかり。同映画祭でも現地入りした。参加作品が相次いで国際的な評価を受けるなど女優として大きな飛躍を遂げた年になった。【村上幸将】

 ◆モスクワ映画祭と日本映画

 59年の第1回で「千羽鶴」(吉村公三郎監督)がソ連平和擁護委員会賞を、「いつか来た道」(島耕二監督)が審査委員賞。65年には「手をつなぐ子等」が審査員特別賞を受賞。新藤兼人監督は、61年「裸の島」、71年「裸の十九才」、99年「生きたい」で最優秀作品賞、04年「ふくろう」で特別功労賞を受賞した。「ふくろう」は大竹しのぶが最優秀女優賞を獲得。日本映画ではないが、黒沢明監督が75年ソ連映画「デルス・ウザーラ」で最優秀作品賞、宮沢りえが01年中国映画「華の愛

 遊園驚夢」で最優秀女優賞を受賞している。