岡田准一(33)主演の映画「永遠の0(ゼロ)」(山崎貴監督)が21日、公開され、興行収入(興収)見込み60億円の好スタートを切った。2014年正月映画とされる同作の記録は、来年分にカウントされるが、今年公開された実写作ではダントツの興収。原作の百田尚樹氏(57)も、この日を含めて「7回見た」と話すほど大絶賛している。

 東京・有楽町のTOHOシネマズ日劇1。登壇した岡田、井上真央、三浦春馬、原作の百田氏、山崎監督は、観客のスタンディングオベーションで舞台に迎えられた。

 岡田は「見ていただいて映画は完成する」と言い、満員(約950人)の劇場を見渡した。登壇前に同劇場で作品を見た百田氏は「(試写からこの日まで)7回目です!

 泣きながら見てました。この映画を日本一見てる男です。山崎監督は日本一!」と大絶賛した。岡田もそれに応え、「百田さんに負けないように何度も見て下さい」と呼び掛けた。

 興収60億円を見込める作品は、実写では今年初。それだけ「実写作品不振」の年だった。03年には「踊る大捜査線

 THE

 MOVIE2

 レインボーブリッジを封鎖せよ!」が興収173億円を出して以降、100億円超えの実写作はないが、12年には73・3億円の「BRAVE

 HEARTS

 海猿」や、59・8億円の「テルマエ・ロマエ」など話題作はあった。しかし、今年はここまでの実写1位は「真夏の方程式」の33・1億円と、映画界全体を活性化させる大ヒット作はなかった。

 「永遠-」の原作は単行本、文庫本、コミック合わせて480万部近く売り上げた。配給の東宝は原作の魅力を信じ、試写会から大規模作戦を展開した。40以上の都道府県で、約8万人規模の試写会を行った。同作の宣伝担当者は「ジブリ作品と同じくらいの試写会規模。ジブリぐらいのブランド力があれば、この規模で試写会をやっても口コミで広がりますが、普通はやりすぎても広がらない。この作品なら大丈夫だと思いました」と内幕を語った。

 岡田にとっても、来年のNHK大河「黒田官兵衛」に向けて、13年のいい締めくくりになり、「年末に『永遠の0』を公開してもらって、たくさんの方に見ていただける実感がある。来年もロングランしてほしい。再来年の井上さんにいいパスができるようにしたい」と、隣に立つ15年の大河「花燃ゆ」主演の井上ももり立てた。【小林千穂】

 ◆「永遠の0」

 佐伯健太郎(三浦春馬)は、祖母の葬儀で、戦争で亡くなった血のつながった祖父がいることを知る。祖父宮部久蔵を調べるために、戦友に話を聞くが、「海軍一の臆病者」との人物評を耳にする。戦争中の宮部(岡田准一)は、妻松乃(井上真央)と娘清子のために「必ず帰る」と誓い、生還のためにパイロット技術を磨いていた。しかし、宮部は終戦間際に特攻を志願する。