若手2大女優、綾瀬はるか(29)と長沢まさみ(27)が初共演することが22日、分かった。「そして父になる」で昨年、カンヌ映画祭審査員賞を受賞した是枝裕和監督(52)の最新作「海街diary」(来年初夏公開)で、夏帆(22)広瀬すず(16)と4姉妹を演じる。同作は、吉田秋生氏による同名少女漫画が原作で、長沢を除く3人は、是枝監督作品への出演は初めてになる。

 「今誰を撮りたいかを優先した」。是枝監督の熱い思いに綾瀬と長沢が応えた。2007年に原作を読んだ同監督が「ほのぼのだけでない新時代の家族劇をやりたい」とほれ込み12年に始動。「長女と次女のタイプの違いがリズムを作り進む」と2人に白羽の矢を立てた。初共演の2人だが、「世界の中心で、愛をさけぶ」のヒロインを長沢が04年公開の映画で演じ、綾瀬が、同年にTBS系で放送されたドラマで演じた縁もある。

 是枝監督は、3月末に都内で行った顔合わせを振り返り、「綾瀬さんの中に見事にしっかり者の長女がいて映画は大丈夫だと思った。長沢さんは次女にピッタリ。2人の掛け合いをいつまでも見ていたいと思えた。本番もアドリブで長回しになると思う」と語った。

 綾瀬は7月末に鎌倉市内の民家で始まる4姉妹の撮影に先立ち、単独での撮影を済ませた。「(撮影は)早朝ということもあり、静かに始まった作品ですが、新たな挑戦に心は燃えています」。長沢は「4姉妹が生き生きと存在できるよう演じられたらと思っています」と意欲を見せた。

 三女役の夏帆は「うっとりするぐらい充実した夏になりそう」と言い、是枝監督も「マイペースな部分が一番原作に近い」と期待した。四女の役名(すず)と同名の広瀬は、オーディションで「すずがいる」(是枝監督)と満場一致で決まった。「そして-」で子役に台本を与えず、自然な感情を引き出した同監督の演出に広瀬は「初めて台本を読まずに撮影に挑みます。全力ですてきな作品にしたいです」と意気込んだ。

 ◆「海街diary」

 鎌倉在住の幸(綾瀬)佳乃(長沢)千佳(夏帆)は、15年前に家を出た父の葬儀が行われた山形で、異母妹すず(広瀬)と初対面。幸は身寄りがなくなった中、決然と振る舞うすずに同居を持ちかける。父を奪った女性の娘を引き取った幸ら3人と自分が生まれたことが人を傷付けたと悩むすずが家族として歩み始める。原作は13年に漫画大賞を受賞。同賞の実写映画化は「岳」「テルマエ・ロマエ」「銀の匙」に続き4作目。