女優吉永小百合(69)が16日、都内で行われた初プロデュース映画「ふしぎな岬の物語」(成島出監督、10月11日公開)完成報告会見で、ワールドコンペティション部門に出品されるカナダ・モントリオール映画祭に阿部寛(50)と参加すると発表した。共演の竹内結子(34)ら次世代に、日本映画を引き継ぎたいという思いを明かした。

 出品が決まった8日から約1週間。吉永が自らの口で、初めてモントリオール映画祭への思いを語った。「心のふれあい、温かさを描く作品になったのではないかと自負しております。いい映画が出来たと思っております。モントリオール映画祭に出品できますこと、とてもうれしくて」。

 海外の国際映画祭への参加は、この日登壇した笑福亭鶴瓶(62)と共演した「おとうと」がクロージング上映された、10年のベルリン映画祭以来4年ぶり。最高賞を争うコンペティション部門への挑戦は、93年「夢の女」08年「母べえ」で経験済みだが、今回は主演女優としてだけではなく、プロデューサーとして作品を世界に売り出すという“初仕事”が待っている。

 それに向け「しっかりとアピールできるように今からトレーニングしたい。モントリオールはフランス語(圏)なので、フランス語でごあいさつもしなければならないかしら、と思って。練習したい」とフランス語習得に意欲を見せた。ともに映画祭に参加する阿部は「吉永さんがフランス語を勉強なさるということで…ちょっとマズいなと思います」と焦った。

 前作「北のカナリアたち」(12年公開)のあたりから女優・吉永小百合個人よりキャスト、スタッフ全員で作った作品が評価されることを望んできた。日本を代表する映画女優として、日本映画の伝統を次の世代につないでいきたい…。竹内の名を上げ、胸に秘めてきた思いを吐露した。

 「たまたま(映画の)ラストは、私が演じる悦子から(竹内演じる)みどりちゃんへ命をリレーするようなシーンで終わった。そういう形で、日本映画が私たちの世代から竹内さんの世代がずっと引き継いで、すてきな作品に出演し続けていただきたいという思いを今、とても持っています」

 女優一筋55年。吉永はモントリオールへの挑戦が、次世代に日本映画のバトンをつなぐ好機になることを望んでいるのかも知れない。【村上幸将】

 ◆モントリオール映画祭

 8月21日開幕。「ふしぎな岬の物語」公式上映は同29日。授賞式は9月1日夜(日本時間2日早朝)。