大泉洋(41)が駆け込み寺を舞台にした異色の時代劇映画に主演することが26日、分かった。作家井上ひさしさんの小説「東慶寺花だより」の映画化「駆込(かけこ)み女と駆出(かけだ)し男」。離縁を願う女性にとって離婚調停人のような役割を果たす主人公を演じる。

 主人公は、離縁を求める女性が、江戸幕府公認の駆け込み寺、鎌倉・東慶寺に入る前に聞き取り調査を受ける御用宿に居候する駆け出し医師。奇抜なアイデアで、男女のもつれた糸を解き、訳あり女性のリセットを手助けする。俳優として独特の存在感を放ち、芸達者と言われる大泉が、人情味とユーモアにあふれる原作の世界観をどのように表現するのか注目される。「駆け込みという事件を通し、その時代に生きる人々を時に切なく、時にコミカルに描く娯楽作です。おそらく今まで見たことがないくらいスピーディーでエネルギッシュな時代劇だと思います」と話している。

 駆け込むヒロインを戸田恵梨香(26)と満島ひかり(28)が演じる。放蕩(ほうとう)亭主に愛想を尽かす女性を演じた戸田は時代劇初挑戦。「今まで時代劇に参加することを少し恐れていたのですが、完成前の映像を見て、参加できたことをあらためて幸せに思いました」と話す。満島は唐物問屋主人の愛人役。

 脚本も手掛け、メガホンをとったのは「クライマーズ・ハイ」など話題作を手掛けてきた原田真人監督(65)。時代劇は初挑戦となったが「現場は爽快愉快でした」。初起用の大泉について「井上ひさし世界の戯作者を見事に演じ切って唯一無二」と絶賛。「世界と真っ向勝負できる1本が生まれたと確信しています」と作品にも強い手応えを感じている。撮影は既に終了している。松竹配給で来年5月公開。

 ◆大泉洋(おおいずみ・よう)1973年(昭48)4月3日、北海道生まれ。96年から北海道で放送された深夜番組「水曜どうでしょう」で注目される。映画は日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞受賞作「探偵はBARにいる」や「清須会議」「青天の霹靂(へきれき)」など話題作に出演。178センチ。血液型B。

 ◆「東慶寺花だより」

 井上ひさしさんが98年から11年にかけて「オール讀物(よみもの)」で連載した短編連作。江戸時代、決死で尼寺に駆け込む女性たちの強さや家族の絆などを主人公、中村信次郎の目を通して笑いと涙を交え描いた。今年1月に新春大歌舞伎の新作として東京・歌舞伎座で上演され、市川染五郎が主演した。