北野武監督(67)が、元ヤクザと若者詐欺集団が対決するコメディータッチの新作映画を手掛けることが5日、分かった。タイトルは「龍三と七人の子分たち」で来年4月25日に公開される。メーンキャストの平均年齢は72歳。藤竜也(73)を筆頭に、近藤正臣(72)中尾彬(72)小野寺昭(71)ら個性派のベテランが勢ぞろいする。

 「金無し、先無し、怖いモノなし!

 ジジイが最高!!」のキャッチコピー通り、ジジイパワーさく裂の映画となる。ヤクザの元組長、龍三を演じる藤と、7人の子分たちを演じる近藤、中尾、小野寺、品川徹(78)樋浦勉(71)伊藤幸純(72)吉沢健(68)の平均年齢は72歳。若者たちによる振り込め詐欺に引っ掛かってしまった龍三が、ヤクザを引退し毎日くすぶっているかつての仲間たちを集め、世直しに立ち上がる物語。最近の2作品「アウトレイジ」「アウトレイジ

 ビヨンド」は暴力団の抗争を描いた。新作は裏社会も描くが、コメディータッチの作品となる。

 北野監督は「メーンキャストが高齢なんで、公開日までとにかく元気でいてほしい。誰かの遺作になっちゃったりしないよう、健康が心配でしょうがないね」と話す。平均年齢70・25歳のローリング・ストーンズや72歳のポール・マッカートニーらが活躍していることもあり「国際的にもジジイたちが大活躍している時代であることを、あらためて思い知れって若者たちに言いたいね」と挑発する。

 撮影は4月下旬から2カ月間行い、既に完成している。北野監督は「世代を超えて楽しめる娯楽作品だな。笑ってくれればそれでいいよ」と話す。森昌行プロデューサーも「コメディータッチでありながらも哀愁を感じさせてくれ、絶妙のバランスに感動すら覚える」と自信を見せる。

 藤は北野作品初参加。「『出てくれ、出てくれ詐欺』かと思いました」と笑わせながら、「北野監督はあまり指示を出さないので、アンテナを鋭敏にしないといけない。とても考えさせられました。ジジイたちにはボケ防止にちょうど良かったんじゃないかな」と刺激を受けた様子だ。また「来年は北野監督の作品と桜を一緒に見られるなんてとてもおめでたい気分です」と喜んでいる。北野監督も刑事役で出演している。