乃木坂46橋本奈々未(24)の卒業コンサートが20日、さいたまスーパーアリーナで行われた。この日をもってグループから卒業し、芸能界も引退した。常に1歩引いて、控えめで、時にシニカル。グループ結成時からグループを支え続けた人気メンバーが、ステージから去った。

 アンコールで、卒業ソロ曲「ないものねだり」を歌った。橋本の好きな緑色のペンライトを持った3万5000人から大歓声を浴びると、「こんなにすてきな景色を何度も目の前にしてるのに、別の道を進みたいと思うのが、一番『ないものねだり』だなと感じていて…」と涙ぐんだ。「今日お別れして、その先にある皆さんの道に、楽しいこと、正しいこと、幸せなことがあることを祈ってます」と泣きながら話した。

 常に1歩引いて、状況を見て行動するタイプだ。進んで前に出るメンバーが少ない乃木坂46の中でも、特に控えめ。以前から「私は、最後までセンターをやらないほうがいいんです」と話していた。ラストシングルとなった「サヨナラの意味」発売時も、「私の卒業曲というふうに見てほしくない。乃木坂46全体の、1つのいい曲として聴いてもらいたい」と訴えていた。

 卒業コンサートとなったこの日の演出にも、橋本らしさが表れていた。冒頭から「気づいたら片想い」「ガールズルール」などシングル曲が続いた。親しい関係者によると、リハーサル時、スタッフやメンバーから「ラストだし、全部、特別に橋本センターでいこう」と提案されたが、断ったという。「私だけのコンサートじゃない。ステージの主役は乃木坂46全体だから。本来のポジションで歌わせてください」。最後まで自分らしさを貫いた。

 小4で全国統一公開模試1位を獲得し、これまで1000冊以上の本を読んだという知性派でもある。この日のライブ序盤には、「私自身ステージに立つのは最後になります。この景色を焼き付けつつも、それ以上に、皆さんが帰った後に、皆さんの角膜、網膜にこびりついて離れないような景色を見せつけたいと思います!」と独特の表現で意気込み、笑わせた。

 ラストは「サヨナラの意味」を歌い、巨大ゴンドラに乗って会場を1周した。「5年半、本当にお世話になりました。皆さんの支えがあって、今の私があります。ありがとうございました。皆さん、サヨナラ!」。奥ゆかしい24歳は、笑顔でアイドル生活を締めくくった。【横山慧】

 ◆橋本奈々未(はしもと・ななみ)1993年(平5)2月20日、北海道旭川市生まれ。11年8月加入、乃木坂46の1期生。愛称「ななみん」。中学までバスケットボール部で、高校では男子バスケ部のマネジャーとしてインターハイ出場。15年3月からファッション誌「CanCam」の専属モデルを務め、女性ファンも多い。163センチ。血液型B。