このページの先頭



ここから共通メニュー

共通メニュー


ホーム > 芸能 > 映画大賞 > 主演男優賞


第20回 日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞


主演男優賞

木村 拓哉「武士の一分」

授賞式

 木村拓哉(35)が「武士の一分」の主演男優賞、石原裕次郎賞に加え、主演作「HERO」がこの日発表されたファン大賞を獲得。3冠に輝いた木村は来年、新作映画の世界公開が控える。

 94年の石原裕次郎新人賞受賞以来、木村が13年ぶりに日刊スポーツ映画大賞授賞式に帰ってきた。主演男優賞の発表。スポットライトを浴びながら、ステージ階段を足取り軽く駆け上がると、500人を超える映画関係者から大きな拍手がわき起こった。

 前年受賞者としてプレゼンターを務めた渡辺から「おめでとう」と表彰盾を受け取ると笑顔を見せた。木村は主演男優賞受賞が決まると、何よりも会うことを楽しみにしていた渡辺から「時代劇をこれから背負っていく人が出てきたと感じました」とたたえられた。激励とガッチリ交わした握手は、出演映画「I COME WITH THE RAIN」(トラン・アン・ユン監督)の世界公開を来年に控え、何よりも力になる。「こんなにすばらしい賞をいただいて、本当にうれしく思っています」と喜びをかみしめた。

 20回の記念開催となった今年の授賞式は、北野武監督(60)の祝辞と乾杯で開幕した。木村は世界的巨匠が日本映画界にエールを送るスピーチにじっと聞き入った。「I COMEー」は欧州合作。全編英語作品に初挑戦した意欲作でカンヌ映画祭出品も視野に入れる。作品が常に欧州で公開され、高い評価も得ている同監督の言葉1つ1つが、今の木村にとって大きな刺激になったはずだ。

 世界進出を控えているからといって、浮かれている気持ちはない。今年の日本映画界は“木村イヤー”といっていい。正月映画「武士の一分」は時代劇で異例の興収40億円のヒット。続く主演作「HERO」は今年の邦画興収NO・1の82億円。11年ぶりの復帰となった日本映画界で存在感を発揮した。それでも「存在感? いや、自分はあくまでものづくりの現場の一員ですから」と原点は忘れない。

 巨匠山田洋次監督(76)の指名を受けて出演を決意した「武士の一分」。「山田洋次映画製作学校に入学したような気持ちでした」という丁寧な演出を受け、新境地を切り開いた。裕次郎新人賞獲得のデビュー映画「シュート!」の撮影時は過密スケジュールもあって「正直、映画を撮ったという感覚はありませんでした」。俳優として充実期を迎え、石原裕次郎賞も獲得した木村は「(受賞テーブルで)そんな山田監督の横に座ることができている自分は、お会いしたことはないとはいえ、石原裕次郎という方にお世話になっているなと思っています」。

 世界を舞台に活躍する映画人、日本映画界の巨匠、戦後を代表するスター裕次郎さん。名実ともにトップスターとなった木村の世界進出を、これ以上ない顔ぶれが後押しする。【松田秀彦】

■      ■      ■      ■      ■      ■

 石原裕次郎夫人のまき子さんは、13年ぶりに授賞式に戻ってきた木村の姿に目を細めた。裕次郎新人賞を受賞した際「これからも頑張って」と励ました。その言葉に応えるかのように木村はトップスターに上りつめた。まき子さんは「武士の一分」で盲目の剣士という難役に挑んだことについて「私もかつて女優でしたから分かるんです。目を開いたまま、見えない芝居をするのは本当に難しいはず。見事になさっていてびっくりしました」。木村は「ありがとうございます。お久しぶりですと、今日こうして言える自分が光栄です」と笑顔を見せた。

 授賞式には渡哲也(66)を筆頭に、舘ひろし(57)神田正輝(57)ら石原軍団も勢ぞろいした。渡は最近では缶コーヒーのCMで木村と共演した。名実ともにトップスターとなって授賞式に帰ってきた木村の姿に熱い視線を送っていた。

■      ■      ■      ■      ■      ■

 木村の石原裕次郎賞受賞を祝うため、ジャニーズ事務所の先輩、近藤真彦(43)が花束を持って駆けつけた。近藤は裕次郎さんとも面識があり、83年には裕次郎さんの名作「嵐を呼ぶ男」のリメーク作品で主演した。会場中央のレッドカーペットに姿を見せると、木村はガッツポーズで先輩に感謝した。近藤は「僕もいつかは受賞してみたいと思っていた石原裕次郎賞を木村に先を越され、うれしいと思っています」と笑わせた。

■      ■      ■      ■      ■      ■

 「武士の一分」で共演した檀れい(36)が主演男優賞獲得を祝福して花束を贈った。宝塚出身で同映画がスクリーンデビュー作だった。「木村さんにはいろいろ助けていただきました。仕事に対する取り組みも勉強になりました」。照れた木村は「山田洋次映画製作学校のクラスメートとして本当にすてきな方でした」と感謝を表した。

 [2007年12月29日 紙面から]

木村拓哉(きむら・たくや)
 1972年(昭47)11月13日、東京都生まれ。SMAPメンバーとして91年にCDデビュー。93年ドラマ「あすなろ白書」で俳優としてブレーク。その後「ロングバケーション」「ビューティフルライフ」「HERO」「GOOD LUCK!!」「華麗なる一族」など主演ドラマがいずれも高視聴率を記録。94年「シュート!」で映画デビュー。95年「君を忘れない」で映画初主演。04年香港映画「2046」はカンヌ映画祭コンペティション部門に出品。同年に宮崎駿監督のアニメ映画「ハウルの動く城」で声優を務めた。雑誌「anan」のアンケート「好きな男」で14年連続1位。176センチ。血液型O。
「武士の一分」
 三村新之丞(木村拓哉)は妻の加世(檀れい)、仲間の徳平(笹野高史)と幸せに暮らしていた。だが、藩主の毒味役を務め失明してから歯車が狂い始める。加世は番頭・島田のわなにはまり、新之丞は武士の一分をかけて復讐(ふくしゅう)を誓う。山田洋次監督。
作品賞&監督賞 「それでもボクはやってない」 周防正行監督
主演男優賞 木村拓哉「武士の一分」
主演女優賞 竹内結子「サイドカーに犬」
助演男優賞 笹野高史「武士の一分」
助演女優賞 樹木希林「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」
新人賞 新垣結衣「ワルボロ」「恋空」
外国作品賞 「硫黄島からの手紙」ワーナー・ブラザース
石原裕次郎賞 「武士の一分」山田洋次監督
石原裕次郎新人賞 該当者なし
ファン大賞 「HERO」「パイレーツ・オブ・カリビアン ワールドエンド」
功労賞 北野武監督、鈴木京香


このページの先頭へ