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第20回 日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞


作品賞&監督賞

「それでもボクはやってない」周防正行監督

監督賞を受賞した周防正行監督(中央)。左はプレゼンターの根岸吉太郎監督、右は鈴木蘭々(撮影・鹿野芳博)
監督賞を受賞した周防正行監督(中央)。左はプレゼンターの根岸吉太郎監督、右は鈴木蘭々(撮影・鹿野芳博)

授賞式

 「それでもボクはやってない」で作品賞、監督賞の2冠に輝いた周防正行監督(51)は、11年ぶりの映画を山田洋次、根岸吉太郎両監督から激賞され「うれしかった」と喜んだ。「これ1本で裁判映画を終われない」「受賞はピリオドではなく、カンマ」と語り、作品賞のステージには、主演の加瀬亮と瀬戸朝香(31)が登壇した。また、「武士の一分」で助演男優賞を受賞した笹野高史(59)には、サプライズで3人の息子がお祝いに駆けつけた。

 痴漢えん罪という切り口で刑事裁判制度の現実を突き付けた周防監督は「この作品は映画館で完結するものではなく、映画館を出た後も嫌な気持ちを引きずってほしいと思ってつくった。受賞はまた多くの人に見てもらうチャンス。うれしいです」と、穏やかな笑顔でスピーチした。

 5年前に痴漢の逆転無罪を報じる新聞記事を読み、裁判の現実に「驚きを感じた」ことが10年ぶりのメガホンの発端だった。デビュー作「変態家族 兄貴の嫁さん」は小津安二郎に、「シコふんじゃった。」は大学相撲に、「Shall we ダンス?」は社交ダンスの世界に。常に「驚き」からスタートする監督は今回も文献を読み込み、関係者を徹底取材し「シナリオ完成までに3年半かかってしまった」。

 ステージでも「留置場と拘置所、裁判所のシーンが」という司会者の説明に間違いがあることを指摘。「この作品では残念ながら拘置所のシーンはない。代用監獄制度といって、留置場で全部過ごすんです」と、細部にデリケートな刑事裁判制度を解説した。探求心は底無しで「これ1本では裁判映画は終われない。受賞は一区切りですが、僕にとってはピリオドではなく、カンマ」。受賞ニュースをきっかけにDVDの追加注文が相次いでいることを素直に喜び「1人でも多くの人に観てもらいたいという僕の気持ちはもはや『運動』。オルグですから」と笑った。

 前年度受賞者の根岸吉太郎監督から表彰盾を受け取り、ガッチリ握手。「いい意味で裏切られた。今までの周防さんと違って、力強い映画だった」と祝福する根岸監督の笑顔に何度も頭を下げた。山田洋次監督には「立派な映画を作られましたね」とねぎらわれた。「映画界の大先輩に認めていただけてうれしかった。きょうはいろんな方に刺激を受けました」と、次の「驚き」に備えている。【梅田恵子】

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左から柳生みゆ、加瀬亮、瀬戸朝香、プレゼンターの李相日監督
左から柳生みゆ、加瀬亮、瀬戸朝香、プレゼンターの李相日監督

 作品賞のステージには、主演の加瀬亮(33)と瀬戸朝香(31)が登場した。周防監督から「キャスティングは一目ぼれだった。ああいうタイプの青年が好きなんです」と“告白”された加瀬は「監督の思いが1人でも多くの人に伝わり、裁判制度に興味を持っていただけるとうれしい」と喜んだ。弁護士役の瀬戸は「撮影の前に裁判所の見学にも行ったのですが、セットに入ったら本当の空間のように作ってあって、自然に緊張してしまった」と振り返った。花束のプレゼンターとして柳生みゆ(17)が登壇した。

 [2007年12月29日 紙面から]

「それでもボクはやってない」
 フリーターの金子(加瀬亮)は電車の中で痴漢に間違えられてしまう。身に覚えがなかったが、駅の事務室へ連れていかれそのまま警察へ。「やってない」という訴えは聞き入れられず、弁護士(瀬戸朝香)らとともに法廷での争いが始まる。日本の裁判制度や刑事司法手続きの問題点などを描いた。
周防正行(すお・まさゆき)
 1956年(昭31)10月29日、東京都生まれ。立大文学部卒。大学在学中に高橋伴明監督の助監督としてキャリアをスタートし、84年「変態家族 兄貴の嫁さん」で監督デビュー。監督作に「ファンシイダンス」「シコふんじゃった。」「Shall we ダンス?」。96年、バレリーナ草刈民代と結婚。
作品賞&監督賞 「それでもボクはやってない」 周防正行監督
主演男優賞 木村拓哉「武士の一分」
主演女優賞 竹内結子「サイドカーに犬」
助演男優賞 笹野高史「武士の一分」
助演女優賞 樹木希林「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」
新人賞 新垣結衣「ワルボロ」「恋空」
外国作品賞 「硫黄島からの手紙」ワーナー・ブラザース
石原裕次郎賞 「武士の一分」山田洋次監督
石原裕次郎新人賞 該当者なし
ファン大賞 「HERO」「パイレーツ・オブ・カリビアン ワールドエンド」
功労賞 北野武監督、鈴木京香


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