<哀川翔

 魂のアタリ!!!!!!!>

 年50回の釣行を毎年達成している俳優哀川翔(50)が、ニッカン釣り面で「魂のアタリ!!!!!!!」のタイトルで不定期連載を今日2日から始める。まずは利根川晩秋の風物詩、千葉・豊里の巨ハゼを狙ってきた。食いが渋る我慢の時間を乗り越えて、終盤に18・5センチを含む7連続キャッチで気勢を上げた。ただ、アニキは「釣りは、釣れない時間が面白いんだよ」の謎の名言を残した-その真意は?

 流域面積で日本一の「坂東太郎」こと利根川にアニキが挑んだ。豊里で釣れる秋ハゼはとにかくデカい。11月16日には22センチの巨ハゼが出た。狙うのは、20センチオーバーのビッグワンだ。

 「ただサオを出すだけじゃなくて、どう釣るかなんだよ。魚と真剣勝負だからな。20センチ以上の巨ハゼを釣って、魚拓をとって、それをTシャツにしたいね」。アニキは燃えていた。

 なかなか強敵だった。釣行日は11月22日。3日前に関東地区は強風と豪雨に襲われ、雨水が大量に川に流れ込んだことで、釣況が落ち込んだ。日刊スポーツ新聞社指定「西谷(にしや)」の西谷博船長(59)は「川の水がしょっぱい方がハゼの活性がいいのよ。海の水の割合が少ねぇかもなぁ」と顔を曇らせた。アニキの瞳の奥が光った。「そんなときもある。それが釣りだよ。さあ、いってみようか」。午前7時過ぎに出船した。

 この日、アニキは午前2時に起きてしまった。まだ見ぬ豊里の巨ハゼを釣ることに集中し過ぎて、自宅を出発するのが午前4時なのに目がパッチリ。サオを厳選してジギング用のショートルアーロッドに小型ベイトリールを選択した。仕掛けは船釣り用だけではなく、投げ釣りで使うタイプまでかき集めて、たっぷり2時間、巨ハゼ攻略に思いをたぎらせた。

 最初は船着き場からすぐ下流、水深6メートルのポイントだった。船の真下に落として、置きザオで様子をみた。2本バリから3本バリ仕掛けに変えたが、反応はゼロ。「ジタバタしてもしょうがない。釣りをしない人は、きっと何が面白いか理解できないだろうな。でも、次の戦略を練っている、釣れないこの時間がとっても楽しいんだよ」。持参した道具箱からシロギスの投げ釣りに使う天ビンをいじりながらつぶやいた。本当に満面の笑みだ。

 場所を3度移動して、同乗した4人のうち3人が14~18センチのハゼをキャッチした。船の真下でヒットしたケースもあったが、チョイ投げして糸を張り、サオごと引いて、底をゆっくり探る釣法が有効だった。

 「間違いない。これだ」とアニキが取り出したのは、投げキス釣りの5本バリ仕掛け。ハリスの絡まりにくい移動式の天ビンとセットにした。「仕掛けを投げて底を探るんだけど、チャンスは多い方がいい。ハゼの活性は低いので、ハゼの目の前にエサのアオイソメをちらつかせないとね。5本バリなら1回のキャストで広く探れるとみた」と解説した。

 30メートルほどキャストして、着底した仕掛けをズリズリ動かした。動きを止めて誘いをかけたらハゼが食い付いた。15センチのきれいなアメ色のハゼだった。「きれいだねぇ。この一瞬のために頑張れるんだよ」とニコリ。その1時間13分後に16センチを1匹、さらに28分後の午前11時14分から19分間、7匹連続でキャッチした。最後の9匹目は18・5センチの大物だった。

 「同じポイントで何度もヒットする。ハゼは1カ所に群れているんだろう。勾配のあるカケアガリがいいね。デカくて、きれいなハゼだ。20センチオーバーは次回の宿題にしたい」とアニキは笑顔をみせた。11月28日、23センチの巨ハゼが出た。数も40匹台に戻ってきている。これから坂東太郎の巨ハゼは本格シーズンに突入する。

 ▼宿

 日刊スポーツ新聞社指定「西谷」【電話】0479・33・1612。平日は乗合出漁で2人から。出船は午前7時。1人エサ付き7500円。仕立て船は4人まで2万8000円で、1人増し4000円。釣り具レンタルあり。要予約。

 ▼基本タックル

 サオ・軟調先調子1・8メートル。小型スピニングリールに道糸PE3号。片天ビンにオモリ7~8号。2本バリ仕掛けでハリスは1・5号・全長約50センチ、天ビンから30センチで枝ス(1号、3センチ)。ハリは流線7号。エサはアオイソメの頭から刺して5センチほど垂らす。