<11年年間大賞第3弾・船釣りブロック>
2011年間大賞のラストは、船釣りブロックの計48地区だ。今年もマグロ釣りがフィーバーし、それを象徴するように、偶然にも神奈川・小田原地区と静岡・伊東地区で過去最大となる68キロをゲットした。キハダマグロ
68キロ木下真さん◆小田原「弘美丸」8月28日
大物は狙って釣れるものではない。巡り合わせや運もあるだろう。木下さんもそれを強調する。そもそもこの日、釣友が「弘美丸」から出漁すると聞き、たまたま同乗したのがラッキーの始まりだった。
強い日差しが照り付ける中、ヒットなしのままストップフィッシング寸前の午後1時半すぎ-。小田原沖でナブラを発見し、船長の指示により右舷側で2人のルアーマンが投入したが、届かず…。それを見た左舷ミヨシ(船首)の木下さんはすかさず80メートルフルキャスト、2人の間にルアーが入ると、ロッドをあおった。潜って浮くルアーで、ワンアクションでガバッ!
何と海面を割って巨大魚が飛び付いたのだ。
相手は猛烈に疾走し、ラインは出るばかり…船が走って追い掛けた。通常なら15分もファイトすれば下へ回るはずなのに、なかなか弱らない。本人いわく「拷問」というバトルが延々と続き、40分後、やっと船まで寄せ、船長がモリを突いた後、同乗者が3人がかりで取り込んでくれた。これが68キロのキハダで、見るとルアーはおなかに、いわゆる<スレ掛かり>だったのだ。「口掛かりなら、もっと楽だったかも。先にキャストした人のルアーが届かなかったことや、運がよかっただけ」と振り返る。魚は港で解体し、船長や同乗者に感謝を込めて分け合ったという。
釣り歴35年でトップゲームにこだわる。海面で操作するルアーに魚が飛び付くのが見えるのが醍醐味(だいごみ)という。3年前にも「弘美丸」で50キロのキハダを仕留めているが、この年、短時間で3回のバラシも-。「そのリベンジも果たせてうれしい」と話し、「釣りは体の続く限りやります」と付け加えた。
◆現認者=小田原「弘美丸」湯川幸次船長(39)
相模湾では今年、マグロは昨年並みのロングランで、特にサイズがよかった。そんな中で、68キロのキハダはうちでは過去最大記録。木下さんは状況判断も的確だし、釣り技術もかなりレベルアップしているからこそ、スレ掛かりでも取り込めた。