<チャレンジ!!ヘラブナ道場!!>

 巨ベラを追いかけて「ヘラブナ道場」では初めてとなる群馬・神流湖を訪ねた。てっきり底狙いの釣りと思いきや、なんと底は不発。驚くことに宙でヒットが連発した。なぜ宙なのか?

 例年とヘラの動きが違うのは、理由があった。

 神流湖はまだ冬から目覚めたぐらいの初春。そうなれば「ヘラブナ道場」では底攻略なのか?

 神流湖では、どうしてもヘラが集まる上流域を目指す。だが、それでは、マニュアル通りの釣りで面白くない。山水の桟橋から対岸、西風を受ける岸に注目した。桟橋のエンジン舟で引っ張ってもらう。わずか5分で到着。

 入り組んだワンドになっていて、風下なので、湖面に浮いた漂流物が集まって岸際を埋めている。漂流物を嫌うヘラブナ釣りが成立するのか?

 今回は、神流湖に通って30年の大ベテラン藤田保さん(68=加須市)に案内してもらった。

 藤田さん

 この浮いた漂流物にヘラが集まる。湖面に漂流物でふたがされているから、その下は寒風にも当たらないので暖かい。その近くで釣りをしていれば、ヘラが自然と寄ってくる。タナはそのときによってまちまち。

 なるほど、その湖の特性をいかに把握しているか。ヘラブナ釣りも情報戦だ。

 風は弱くない。サオを出しながらも大きな流木がボートにぶつかってくる。門下生の永瀬洋さんのところにも10メートルを超える太い竹が漂流してきた。そのままボートの横に浮かべた。永瀬さんは「これでほかの細かい漂流物を避けることができる。都合がいい」と太い竹を逆利用した。これが功を奏した。

 しばらくして、がまかつ紬11尺(約3・3メートル)がキューン、としなった。36センチのグッドサイズだ。「底には何も感じなかったので、ウキ下を1・5メートルまで詰めたらきた。(ヘラが)浮いてる」と永瀬さんはつぶやいた。

 細かい漂流物が集まるすぐ横でボートをくくりつけた同じく門下生中村豪さんのがまかつ凛刀11尺に34センチがきた。ハリはがまかつアスカ9号。「水草が引っ掛かるから、絡まない高さまで上げた。やっぱり浮いてる感じ」と中村さんは得意げな表情だ。

 藤田さん

 今年の冬は積雪がすごかった。その雪代が湖水に入り込んで、底面に沈んだみたい。それでヘラが宙にいると思われる。

 この日は門下生2人が調子よくサオを上げた。関川康夫師範代と大関実コーチは、エサの硬さを変えながら、底を丹念に攻め続けた。

 大関コーチ

 こりゃ、いませんね。やっぱり宙だ。陽気もいいから乗っ込みなんだろう。また冷たい雨が降ったりして釣果が渋るかもしれませんが、また暖かくなれば宙で気持ちのいい釣りができそう。

 門下生2人は、ともに42センチを釣り上げ満足。永瀬さんは33匹、中村さんも19匹。しかも、35センチ以上の大きなサイズばかりだった。

 関川師範代

 エサは広がらないように硬めがいい。ヘラがデカいから泳いだ勢いでエサが溶けちゃうこともあるから、ちゃんとタナに届くようにエサは小さめでいい。門下生は2人ともタナが宙であることを早い段階で見切ることができた。素晴らしい。

 師範代はホメまくったが、最後に「この時期は底付近に居座ることもあるから、柔軟に対応するといいね」と決めつけない釣りの重要性を説いた。【寺沢卓】

 ▼ボート

 群馬・神流湖「山水」【電話】090・5536・9982。出舟は午前6時、帰着は午後4時まで。ボート料金は1人2000円から。入漁料は1000円。桟橋は、旅館「山水」から対岸、車で約5分。