<ニッカン・つりラボ>

 内房・保田沖(千葉)で船のイシダイ釣りが絶好調!

 本来、磯釣りの人気ターゲットで、なかなか釣れないことから「幻の魚」とも称されるが、保田港の「村井丸」では魚族資源保護のため20匹ジャストを上限とし、その上限釣果が連発している。細め&軽量のライトタックル(LT)でウイリー(繊維質の擬餌バリ)仕掛けを使い、魚が掛かると猛烈な引きが堪能できるのが魅力。釣り方は<スー&フワフワ>のシャクり方がポイントだ。

 「村井丸」が今冬、イシダイの乗合船を始めたのは12月7日でトップが8匹。昨年より半月以上も遅く、村井智博船長(50)によれば、潮温が高めに推移している影響だという。それでも、翌日に上限釣果の20匹が飛びだし、以降も好釣果ラッシュだ。

 釣り場は近い。港から10分ほどで船長から「やってください」のアナウンスがあり、まず、入ったのが水深40~50メートルラインの深場。船長の指示ダナは底付近から15メートル前後上までが範囲内で、下の層から1回シャクるたびにリールをひと巻きしつつ<当たりダナ>を探っていく。左舷の胴ノ間(中央)で福本佳世さん(49=東京都江戸川区)の軟調のサオがギュンギュンッ!

 折れんばかりに曲がってド迫力。横じまクッキリの40センチ近いイシダイが躍り上がった。福本さんは、市川サンライズゴルフセンターのレッスンプロでイシダイは初釣戦。「船中第1号はうれしい」とニッコリ。

 穏やかなコンディション下、左舷ミヨシ(船首)で武藤篤さん(41=千葉県船橋市)が立て続けに釣り上げた。これを合図に船内でヒットが連発し、サイズは30センチ前後が目立つ。それぞれシャクり方は違い、武藤さんはスローにシャクり、リール巻きの落とし込みではフワフワ~的なパターンを繰り返しながら3匹…5匹と数を伸ばす。

 バラシも出始めた。潮温は16度台で流れが鈍く、俗にいう<潮が効かない>せいで食いが浅いらしい。しばらくして、船は水深20~30メートルラインの浅場に移動、再び武藤さんが連発。シャクりはスー…で、落とし込みはフワ…程度の軽い感じに変えていた。

 3時間余りが経過したあたりからアタリが遠のく。そんな中でもイシダイはヒットした。右舷胴ノ間で板倉善之さん(45=千葉県市川市)がポツリポツリ取り込み、同ミヨシ2番目にいた内田京司さん(58=東京都江東区)は何と置きザオで掛けた。コマセ釣りだから、いろいろな魚が食いつくのも面白い。この時期はキモが肥え太ったカワハギや、武藤さんはカサゴ、福本さんがマハタを釣れば、隣の阿部秀美さん(63=埼玉県草加市)は50センチ余りのヒラメの舞い踊りだ。

 午後1時の納竿(のうかん)でイシダイはゼロもいて、上限釣果は出なかったものの、武藤さんが11匹でサオ頭、板倉さんは7匹、内田さんと阿部さんは4匹でまずまず。まだ始まったばかりで、トップシーズンの1~2月には群れで固まり、その群れに当たれば数釣りの期待大!

 ちなみに釣ったイシダイは冷蔵庫に2、3日ねかせれば食べごろ。内田さんは「35センチ以上は脂がのって刺し身やしゃぶしゃぶなど、小型は塩焼きがいける」と話す。これからが楽しみだ。【長瀬川忠信】▼武藤篤さんのアドバイス

 ◆シャクりはスー&フワフワが基本

 エサ取りもいるので、あらかじめコマセカゴは下を閉め、上の穴から少し出る程度に調節しておきます。最初はコマセカゴを底まで落とし、軽くシャクってコマセを振りだす。フワフワ漂うコマセの煙幕の中に仕掛けが通過するよう、1回のシャクりでサオ先を下げながらリールをひと巻きし、2~3回やった後、その位置で止め、サオ先をスーと聞き上げて、アタリがなかったら、この<スー&フワフワ>で船長の指示ダナの範囲内の<当たりダナ>を探り、反応がなければ再び落とし込んで繰り返す。シャクりは、深場はスローに<スー&フワフワ>で、浅場はソフトタッチに<スー&フワ>程度。アタリがあったら、次からは底まで落とさず、その層の前後から探ります。

 ◆合わせはタイミング

 魚の活性が高ければ聞き上げた時にガツンッ!

 と比較的はっきりしたアタリが出るので即合わせ。活性が低い場合は落とし込みで食いつくことが多く、モゾモゾ…と微妙な<前触れアタリ>をキャッチしたら少し待って、次に引き込まれたら合わせのタイミング。バラシが多いようならハリを大きくしてみましょう。

 ◆ヒットパターンを見つける

 仕掛けは、ウイリー&カラバリにエサを付けますが、魚の活性や潮況によってヒットパターンは違ってきます。ウイリーの色を変えるか、例えば深場はグリーンやベージュ、白系など、浅場はピンクやクリーム色、白系、黄色などを目安に。また、付けエサはエサ取り対策としてオキアミとイカの短冊をセットにしたり付け分けして、シャクりも50センチ…1メートルと幅を違えたり強弱をつけるなど、いろいろやってみて、その日のヒットパターンを早く見つけることが大事。

 ▼船

 日刊スポーツ新聞社指定「村井丸」【電話】0470・55・1121。LTイシダイの乗合は午前6時出船でコマセ&氷付き(付けエサは別)9000円。ほかにLTウイリー五目釣りも出漁中。火曜日定休だが、1月からの出船時間も含め詳細は要確認。年内は31日までで新年は3日から営業。HP<http://www.muraimaru.co.jp/>

 ▼交通

 電車はJR内房線・保田駅から徒歩7分ぐらい。マイカーの場合は、富津館山自動車道・鋸南保田インターから国道127号に出て左折し、道なりに走ると、左に「村井釣具店&村井丸」がある。