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阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」

ニセ有栖川宮公判は学芸会? 坂本晴美被告大泣き

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2003年4月都内であった「結婚披露宴」で記念写真に納まる北野康行、坂本晴美の各被告(共同通信)

 裁判員制度のポスターが完成したんだけど、どれぐらいの人たちが見たんだろうか? そのポスターには筆字で大きく

 「その時
  自分ならば
  どうする
                     みつを」

 って、相田みつをの詩が書いてあるんです。ポスターの下には、これでもかっていう程、小さな文字で「私の視点、私の感覚、私の言葉で参加します」と記してある。このキャッチコピーは、今年9月に一般公募で選ばれたものなんだけど、こんな扱いなら最初から相田みつをの詩をキャッチコピーにすれば良かったんじゃないのかね? それくらいインパクトのあるポスターです。一見の価値あり。

 さて、今回は12月5日にあったニセ有栖川宮の裁判。このコラムの第1回でも取り上げたんだけど、今回は有栖川宮を騙っていた張本人・北野康行の被告人質問です。

 実は北野の被告人質問は1度行われてたんだけど、(共犯の)坂本晴美の被告人質問と被害者の証人尋問をはさんで、1年ぶりの被告人質問なのです。
 まずは弁護人からの質問。

 弁護士「あなたが京都で警備会社で働いていたころの話を聞きます。当時、高松宮殿下と会ったそうですが、どんな用件でお会いしたんですか?」
 被告人「もう10年以上前のことなのでね、どんな用件だったかは忘れました。ま、私は今でも用件はあまり聞きません」
 弁護士「その時にどんなことを言われたんですか?」
 被告人「高松宮殿下に『私が父だ』と言われました」

 と、有栖川宮を名乗ることを許されたそうです。なぜ、高松宮殿下と会う機会があったのか? なぜ、高松宮ではなく有栖川宮を名乗ることを許されたのか? 謎の多い新証言が飛び出してきました。どう考えても真実とは思えない話なんだけど、これは後で検察官に厳しく追及されることになるのです。

 弁護士「あなたの後ろに座ってる坂本晴美さんについて聞きます。結婚しようと考えたのはいつごろなんですか?」
 被告人「初めて会った瞬間です」
 弁護士「そうですか。あと、踏み込んだことを聞きますが、プロポーズはどちらから?」
 被告人「えっと、晴美さんの方から・・・」
 弁護士「どんな内容だったんですか?」
 被告人「舞い上がってしまって覚えてないですね」

 と、弁護人が芸能レポーターに見えてくるような質問攻撃。弁護人としては、こういうことを聞き出すことで、愛し合ってる純粋なカップルであると主張してる訳です。さらに

 弁護士「いまだ入籍してないのはなぜですか?」

 と、質問されるとバツイチの北野被告は

 被告人「(前妻のことで)女性への信頼は下がったけど、晴美さんはいい人です。でも年齢が・・・。この年齢(逮捕当時45歳)の人と一緒になって子供ができるんかな、と。子供が欲しいんで。かといって、愛人つくったら、また裁判になってヒドい目に遭わされるし・・・。子供ができたら入籍したい」
 多弁ではない被告人が、さらに続けて語りだします。
 被告人「あと晴美という名前。私のまわりの『ハルミ』は、大体結婚しないんです。それか夫が早く死んだり。そんなジンクスがあるんです。私は子供が欲しいんです。自分より3つも年上の女性とで、子供ができるかどうか・・・。今は、晴美さんの健康のことを考えているだけです」

 子供が欲しい、坂本晴美は年をとっているということ以外はよく分からない主張を言い終えると、坂本晴美被告がタオルで顔を覆って大号泣。「入籍したい」「健康を考えている」の言葉に感激したのか「年配の人」の発言に傷ついたのかは分からないけど、涙も流さずに泣き出す姿は学芸会のような雰囲気が・・・。

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法廷での坂本晴美被告(スケッチ:阿曽山大噴火)

 次は検察官からの質問。最初から怒りモードです。

 検察官「前回の被告人質問で、誰に有栖川宮を名乗るように言われたか? の問いに対して『言いたくありません』と答えてたのに、なぜ、今日は『高松宮殿下』と?」
 被告人「(前年の12月に高松宮妃が逝去され)迷惑がかからなくなったので・・・」
 検察官「亡くなった人の名誉だってあるでしょ! 大体ね、どういう話の流れで有栖川宮を名乗っていいって言われるんですか?」
 被告人「もう昔のことですから、お芝居のセリフみたいに覚えてないですよ」
 検察官「芝居のセリフって(笑)。あなたは何かを演じてるんですか」
 被告人「そういう訳じゃないですけど・・・」

 他にも、当時の名刺や書類など新たな証拠品を提示して、被告人をイジメるように質問してました。

 今回の裁判も終わりと思っていたら、最後に被告人から「父親の親が伏見宮なんです」と、新証言が出たんです。この発言には裁判長も黙っていられないようで

 裁判長「え? あなたのお父さんの親は『北野』でしょ?」
 被告人「それが、伏見宮らしいんです」
 裁判長「じゃあ、あなたのおじいさんが宮家だと言うなら、あなたは宮家の人間ってことですよね?」
 被告人「いや~、言ってる意味が分からないんですけど」
 裁判長「あなたが言ったことでしょ!」

 と、漫才のようなやり取りに傍聴席爆笑。
 とにかく、変なこの裁判。何から何まで演芸チックに見えるんだよなぁ。裁判も終盤なので、春くらいには判決が出そうです。

 【有栖川宮を語った詐欺事件の概要】 「有栖川識仁」(ありすがわ・さとひと)を自称した無職北野康行(41)と無職坂本晴美(45)は、大正時代に断絶した皇族「有栖川宮」を名乗って03年4月に都内で結婚披露宴を開き、祝儀約1300万円などをだまし取ったとして、同年10月21日、警視庁公安部に、詐欺容疑で逮捕された。
 披露宴は03年4月6日、都内で開かれた。約2000人に招待状が送付され、俳優の石田純一さん、タレントのエスパー伊東さんら約400人が出席した。

阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)

阿曽山大噴火・写真

 本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。裁判ウオッチャーとして数多くの裁判を傍聴。 月刊誌「創」に裁判傍聴日記の「アホバカ裁判傍聴記」を連載している。主な著書に「裁判大噴火」(河出書房)。

 パチスロはすでにプロの域に達している。また、ファッションにも独自のポリシーを持ち、“男のスカート”にこだわっている。定住する家を持たない自由人。パチスロと裁判傍聴で埋めきれない時間をアルバイトで費やす日々。



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