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阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」

盗んだ個人情報には女性の下着のサイズも・・・

 2006年最初のこのコーナーですが、裁判自体は去年の話です。年末年始は裁判の数が少ないから仕方ない。もちろん、裁判の数はゼロじゃないんだけど、報道された有名な事件を書くという決まりごとがあるのです。

 というわけで、今回は大きく報じられたけど裁判は全くと言っていいほど報じられなかった事件です。楽天の個人情報流出事件って言われているやつです。

 事件の内容は、ショッピングサイト「楽天市場」に出展していた輸入雑貨販売会社「センターロード」の顧客情報が流出した事件で、警視庁ハイテク犯罪対策総合センターは、元社員の橋本安弘容疑者を逮捕した。

 橋本容疑者は27回にわたり、センターロード社のパスワードなどを自分のパソコンに入力、楽天のサーバーにアクセスし、約3万6000件の個人情報をダウンロードした疑い。女性の下着のサイズやクレジットカードの番号なども含まれていた。

 ということで、去年の12月19日に行われた橋本安弘被告の初公判です。検察官によると、被告人は職を転々としたあと、03年にセンターロードに転職。05年3月に同社を辞める際、パスワード管理ソフトのデータをコピーして自宅に持ち帰った。そのバックアップデータを利用し、個人情報を入手。その個人情報を名簿屋に売ったというのが、事件の概要。ちなみに罪名は不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反です。
 そんな冒頭陳述を受けて、弁護人からの被告人質問です。

 弁護士「パスワード管理ソフトは、会社にいれば誰でも使えたものなんですか?」
 被告人「はい、そうです」
 弁護士「バックアップファイルを取るために、何か特別なことはしました?」
 被告人「いいえ」

 と、入手するのは会社の管理が甘かったためか簡単だったと証言。そして、弁護人が、

 弁護士「顧客のパスワードを知っているのと、バックアップファイルを持っているのは同じようなことですかね」
 被告人「そうだと思います」
 弁護士「ということは、パスワードをメモ帳にちょちょっと書いて持ち帰るのと対して変わらないですね」

 と、強引な弁護。パスワードをメモ帳にちょちょっと書いて持ち帰るのと、数万件の顧客データをコピーして持ち帰るのが同等って言われてもなぁ。さらに弁護人。

 弁護士「あと、あなたは自宅のパソコンからサーバーにアクセスしてますよね。そんなことしたらIPがばれるのになぜやったんですか?」
 被告人「そこまで細かく考えてなかったです」
 弁護士「じゃ、そんなに悪いことだとは思ってなかったんですか」
 被告人「情報を売る目的じゃなかったので、深く考えてませんでした。閲覧するだけだったので」

 閲覧が目的でも不正にアクセスした時点でダメだと思うんだけど。よくわからない言い訳です。

 弁護士「でも、個人情報を名簿屋に売ってしまったんですよね。で、10万円を得てますね」

 と手にしたお金は少額だったと主張していました。他には、楽天やセンターロードから連絡は来てないけど、出切るかぎり対応したいなど、被告人は反省の弁を述べて質問終了。次は検察官からの質問です。

 検察官「勤めていた会社でパソコンに関することは、あなたが一番詳しかったようですね」
 被告人「他の人もやってましたけど、そうですね」
 検察官「パスワード管理ソフトは、あなたが導入するよう会社に勧めたんですね」
 被告人「はい。そうです」
 検察官「それは今回の犯行を見越してのことなんですか」
 被告人「いえ、それは違います」
 検察官「あなたは今年の3月、会社の物を勝手に売ったということで解雇されていますが、会社に恨みがあってやったんですか?」
 被告人「そういう目的ではありませんでした」

 なんと会社を辞めたのは横領がばれてクビになったんですね。それで、損害賠償(だと思われる)などの借金があったのが、今回の犯行の原因らしいです。

 検察官「その横領での借金っていくらくらいあるんですか?」
 被告人「600万近くあります」

 600万円の借金の為に罪を犯して得たお金が10万円、と。楽天やセンターロードが失った信用、顧客が背負わされたリスクを考えると、10万円って金額がちっぽけに見えるんだよな。

 ちなみに求刑は懲役8カ月。刑法のことは詳しく知らないんだけど、これもちっぽけに見えるんだけど。

阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)

阿曽山大噴火・写真

 本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。裁判ウオッチャーとして数多くの裁判を傍聴。 月刊誌「創」に裁判傍聴日記の「アホバカ裁判傍聴記」を連載している。主な著書に「裁判大噴火」(河出書房)。

 パチスロはすでにプロの域に達している。また、ファッションにも独自のポリシーを持ち、“男のスカート”にこだわっている。定住する家を持たない自由人。パチスロと裁判傍聴で埋めきれない時間をアルバイトで費やす日々。



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