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阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」
愛人を身代わり、反省なき無免許男
先週火曜日の1月17日。最高裁では宮崎勤被告の判決があって、東京地裁では村岡兼造被告の公判。まだ裁判には直接関係ないけど、ライブドアの強制捜査に、ヒューザーの小嶋社長の証人喚問。新聞などニュースを発信する側としては、ネタにこと欠かなかった訳です。こんな日は、小さな事件は報道されないんだよなぁ。
という訳で、その17日に行われた藤田保被告の初公判。罪名は、道路交通法違反・業務上過失致傷・犯人隠避教唆。では、事件の内容を簡単に。
無免許で自動車を運転中に事故を起こし、助手席の知人に運転者の身代わりを依頼したなどとして、05年11月に内閣府経済社会総合研究所の専門官・藤田保(58)が警視庁に逮捕された。調べによると、藤田容疑者は板橋区の交差点で赤信号を無視して乗用車と衝突。相手の車に乗っていた家族4人にケガを負わせ、助手席の女性会社員(51)に「事故を起こしたことにしてくれ」と依頼した疑い。
調べに対し「事故を起こすと退職金がもらえなくなると思った」と容疑を認めた。
検察官によると、被告人は過去に交通違反を8回していて、免許停止2回、免許取り消し1回。最後に逮捕されたのは04年3月で、免許停止中の運転だったので免許取り消しになった。そして驚くべきことに、以前にも駐車違反の時、今回と同じ女性に身代わりをしてもらったとのこと。犯人隠避は初めてではなかったんですね。
免許取り消しになっても1年すれば免許の交付を受けられるのに、なぜ、免許を取らなかったのか? 2度も身代わり逮捕された女性は何者なのか? 被告人質問で明らかになるのです。
まずは弁護人からの質問。
弁護士「起訴事実に間違いはないですね」
被告人「はい。間違いはないです。運転中ボーッとしてたんだと思います」
弁護士「事故った後、助手席の女性に身代わりを頼んだのはなぜですか」
被告人「車をぶつけてパニックになってしまったので・・・」
弁護士「以前、精神科に通院してましたね?」
被告人「5~6年前に、仕事で苦手なパソコンを使うようになって、頭がおかしくなったんです」
と、精神的な疾患があったと弁護側は主張してました。
弁護士「免許がないのに運転したのはなぜですか」
被告人「引越しをして車がないと不便だったんです。ついつい、乗ってしまいました」
弁護士「でも、もう免許は取りに行けたはずですよね?」
被告人「ま、手続きが面倒だったので・・・」
と、呆れてしまうような理由を述べてました。
次は検察官からの被告人質問。
検察官「先ほど、病院に通ってた話してたけど、最近も通院してたんですか?」
被告人「医者には来るように言われてたんですけど、まぁいいかな、と」
どうやら今回の逮捕で診断書をもらいに行ったのを除けば、02年秋以降、病院には行ってないらしい。
検察官「自分では、病気は治ってないと思ってたんですか?」
被告人「まぁ、思ってれば運転できませんよね」
と、他人事のようにアッサリと病気のことを否定してきました。そして、助手席の女性についての質問です。
検察官「身代わりを頼んだ女性・・・毎週、週末に会ってた愛人の関係にあったようだけど・・・」
と、被告人との関係を明らかにしながら
検察官「その女性とは今後も付き合いを続けるんですか?」
被告人「もう別れました」
検察官「何で?」
すると、口をとがらせ、すねたような声で
被告人「だってー、付き合っててもしょうがないから」
付き合っててもしょうがないとは、身代わり逮捕させるためだけの付き合いだったということなのかね? いろんな愛人関係があるもんだ。そして最後は裁判官からの質問。
裁判官「運転好きなの?」
被告人「いいえ」
裁判官「え? 調書見ると『週末は女性とドライブに出かけていて、泊まりで往復600キロ走ったこともある』って書いてるけど?」
被告人「実はそうですね」
裁判官「他にも調書に『事故った時、女性に身代わりを頼もうと思ってた』と書いてますけど、本心ですか?」
被告人「そうですね」
裁判官「じゃ、パニックとか関係ないでしょ!」
と、一喝。1時間の公判の中で、1度も被害者への謝罪の言葉がない被告人への怒りのようにも聞こえましたね。
検察官が懲役1年6月を求刑して閉廷。
無免許で1年半以上も毎週運転して、信号無視して、4人にケガさせて、愛人に身代わりをしてもらって、求刑1年6月ですか。判決後に処分されるんだろうけど、職場の方もまだクビになってないようだし、交通事故の処分って軽いよなぁ。まさか国家公務員だから、こういう扱いってことはないですよね。
阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)
本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。裁判ウオッチャーとして数多くの裁判を傍聴。 月刊誌「創」に裁判傍聴日記の「アホバカ裁判傍聴記」を連載している。主な著書に「裁判大噴火」(河出書房)。
パチスロはすでにプロの域に達している。また、ファッションにも独自のポリシーを持ち、“男のスカート”にこだわっている。定住する家を持たない自由人。パチスロと裁判傍聴で埋めきれない時間をアルバイトで費やす日々。