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阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」

深キョン怒った!「犯人を厳重に処罰してください!」

 先週は東京地裁で無罪判決が2つもあったんですよ。1つは「割り箸裁判」とも呼ばれていた、割り箸がのどに突き刺さり保育園児が死亡した事故で、業務上過失致死の罪に問われた医師根本英樹被告人の公判。もう1つは日歯連献金事件の村岡兼造被告人の公判。

 最近、無罪判決のニュースが多い気がするんだけど、滅多にないことなんだよね。2003年(平成15年)のデータを見ると、0・001%が無罪なんだから。それが、東京地裁だけで2つ。しかも、2つとも同じ裁判官なんだよな。なんか不思議というか驚きです。

 さて、今回はwebで書くからこそ意味のある裁判の傍聴記。3月29日に行われた荒里志被告人の裁判です。罪名は名誉棄損。女優の新山千春さんの顔写真に、別の女性のヌードを合成したアイコラ写真をインターネットに掲載したとして、荒里志ら4人が逮捕、起訴された事件で、アイコラで逮捕者が出たということで大きく報じたれた事件ですね。

 で、被告人は追起訴されていて深田恭子、優香、熊田曜子、安倍なつみ、平山あや、はしのえみ、島谷ひとみ、水野美紀などなど、他の女性のアイコラも掲載していたとのことです。検察官によると「被害者である深田恭子さんは『犯人を厳重に処罰してください』などと述べております」とのこと。
 こういう場合、本人に事情聴取するわけね。タレントも大変だなぁ。

 まずは、弁護人からの被告人質問。

 弁護士 「あなたはweb上の掲示板をレンタルしてたんですよね」
 被告人 「はい、そうです」
 弁護士 「そこでアイコラ写真を募ってこうなってるんだけど、他のサイトも管理してたんですよね。いくつくらい?」
 被告人 「約3万件のサイトを管理していました」
 弁護士 「そのうちの1つが、本件の掲示板である、と。写真はいちいちチェックしてました?」
 被告人 「してません」
 弁護士 「ちなみにアイコラ写真に興味は?」
 被告人 「全くありません」
 弁護士 「起訴状に載ってる芸能人を4人しか知らないって言ってましたもんね。ただ、こういう掲示板が法に触れるって意識はありました?」
 被告人 「全く思ってませんでした」
 弁護士 「全く、ですか?」
 被告人 「写真を使っているので、著作権の侵害…著作権に触れるかも、とは思ってました」

 等等、概ね起訴事実を認めつつ、あくまで掲示板を提供しただけ、という主張です。

 次は、検察官からの質問です。

 検察官 「アイコラの募集したのは事実ですか?」
 被告人 「はい、事実です」
 検察官 「アイコラ写真を掲載することで利用者が増えるだろうと思ってました?」
 被告人 「思ってました」
 検察官 「それでバナー広告の収入が増えると考えていましたか?」
 被告人 「はい、考えていました」
 検察官 「で、アイコラ写真なんだけど、例えばあなたの交際している女性の写真が加工されてネット上に出されたら嫌でしょ?」
 被告人 「そうですね」

 なんで、例え話で付き合ってる彼女が出てくるのか謎なんだけどね。ちょっと意味合いが違う気もするんだけど。

 検察官 「反省してるんですか?」
 被告人 「一般人に関しては申し訳ないと思ってますが、一部は申し訳ないとは思っていません」

 人物によって謝罪の気持ちがあるって、どういうことなんだ? と思ってたら、検察官はちゃんと質問してくれました。

 検察官 「は? 一部っていうのは?」
 被告人 「わいせつな露出を多くしている女性です」

 グラビアアイドルのことを言ってるんでしょうかね。とりあえず、検察官からの質問はこれで終了。アイコラで起訴というはじめてのケースのためか、裁判官は言葉を選ぶようにして慎重に質問してました。

 裁判官 「先ほど、法に触れるとは思ってなかったと答えてましたが、なぜですか?」
 被告人 「アメリカの判例を見て、それを基にホームページを作ったので、アイコラは作品という認識でした」
 裁判官 「うーーん、それは政治的な意味合いをもったアイコラを広い意味で認めるという主旨のものですよね・・・。それもおそらく限界があると思いますよ」

と、言いながら、手元のアイコラ写真をぺらぺら何枚かめくって、

 裁判官 「これは芸術ですか?」
 被告人 「はい!」
 裁判官 「それは首から上だけ別の写真を付け加えたようには思えない精巧なものということですか?」
 被告人 「いや、今は顔だけをすげ替えるというやり方はやらないらしいです」
 裁判官 「そういうことを聞いてるんじゃないですよ。アイコラの技術が芸術ということ?」
 被告人 「そうですね」

 アイコラ写真に興味がない被告人が、最近のアイコラ事情、芸術性を語ってました。

 これで、アイコラ初摘発の公判は終了。傍聴してて、なんかモヤモヤしたんだけど、多分著作権の話に触れなかったからだと思うんだよね。だって、名誉棄損以前に写真は勝手に使用されて掲載されてるわけでしょ。

 実際、タレントの写真やテレビ画像や他人の文章が掲載されてるホームページなんかたくさんあるからねぇ。ネットって著作権に関してはカオス状態。その辺のルールやらガイドラインを作るべきだと思うんだけどな。

 どうでもいいですけど、起訴状に記されていた被害者は顔写真の方だけなんだよね。ヌード写真の人物が「他人の顔にされている」って、被害を訴えることは出来ないのかな。

阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)

阿曽山大噴火・写真

 本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。裁判ウオッチャーとして数多くの裁判を傍聴。 月刊誌「創」に裁判傍聴日記の「アホバカ裁判傍聴記」を連載している。主な著書に「裁判大噴火」(河出書房)。

 パチスロはすでにプロの域に達している。また、ファッションにも独自のポリシーを持ち、“男のスカート”にこだわっている。定住する家を持たない自由人。パチスロと裁判傍聴で埋めきれない時間をアルバイトで費やす日々。



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