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阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」
究極のでたらめ、リフォーム詐欺
先週は裁判が少なかったなぁ。4月のはじめは人事異動の都合で、毎年少ないんだけどね。しかも、公判が行われてもそのほとんどが弁論とか判決。東京地裁ですら、1日に数件しか行われていなかったから、地裁によっては1週間1件も行われなかったなんてところもあったと思う。
ということで、今回は3月31日に行われた和田亮容疑者の裁判。
事件の内容は、俗に言う“リフォーム詐欺”と呼ばれているやつです。日本中で似たような手口の犯行が行われてたようです。滋賀県の方では求刑まで出てるみたいなんだけど、東京の方は遅々として進んでないですよ。
というのも、数が多いからなんです。サムニングループ関係者で逮捕されたのは13人。しかも全員が起訴。
3月23日に行われた、この事件での最初の公判、グループNO・2の小松茂樹の初公判(和田亮被告人を含む3人が同時審理)では、3人とも起訴状の認否を留保してました。
検察官 「他にも追起訴の予定があります」
弁護士 「追起訴がいつになったら終わるのかハッキリしていただきたい!」
検察官 「まだ、再逮捕の予定もありまして、何とも言えないのですが…」
と、検察官も歯切れ悪くモゴモゴと。
弁護士 「和田被告人に関しては、長期間身柄の勾留を受けているんですよ。他の被告人と重なってる部分は、分離して審理してもらいたいですね」
裁判官 「でも、罪状認否を留保してるわけだからなんともなぁ…」
弁護士 「こう言っちゃなんですが、これから裁判員制度が始まれば、こういうこと(初公判後の追起訴・再逮捕)はないわけですよね。そういう動きになってるんですよね。抗議の意味をこめて留保するしかないんです! すべて起訴してからでないと、全体像がまったく分からないですよ!」
と、弁護人大激怒。とにかく、大混乱のスタートで、いつになったら事件の話になるのやら…。弁護人の要求が認められたのか、3月31日に和田被告人のみの裁判が行われたわけです。
で、今回は平成13年に工事部で被告人と一緒に働いていた人の証人尋問。
検察官 「なぜ、今回証人として出廷しようと思ったんですか?」
証人 「自分も逮捕されるのでは、と不安な気持ちでいました。それで、証言することで事件が早く解決すれば被害にあった人にも謝罪になるかな、と」
検察官 「では、工事の内容を聞きます。どのような流れで工事に行くのですか?」
証人 「営業の人が取ってきた契約書を見て、L字金具、束柱ホルダーセットを持って依頼された家へ向かうかたちになってました」
検察官 「L字金具というのはどこに取り付けるのですか?」
証人 「屋根裏に入りまして、柱のつなぎ目につけてました」
検察官 「それは耐震補強になってると思いました?」
証人 「素人目から見ても、意味ないと思いました」
検察官 「あと、柱の数が少なくて、L字金具が余ったことがあるそうですが、どうしました?」
金具の数が多いってどんな営業の取り方してたんだろうか?
証人 「全部つけて帰らなければいけないので、自己判断で空いている部分に取り付けてました。それでもL字金具が余った場合は、床下の柱に取り付けてました」
検察官 「え? 屋根裏の工事なのに床下ですか? 床下に取り付けるというのは…」
弁護士 「異議あり! 本件は屋根裏でしょう。床下は関係ないですよ!」
検察官 「工事の一部ですから、床下も」
と、屋根裏・床下論争で裁判は一時中断。裁判官も頭をかかえてましたね。ホントに遅々として進まない裁判だ。結局、床下の話はできずで質問は終了。次は弁護士からの質問。
弁護士 「先ほど、自己判断でL字金具を取り付けたと答えてましたけど、はじめのころは先輩について行って、見習いだった時期もあったんですよね」
証人 「はい、そういう時期もありました」
弁護士 「どういう風に取り付けるんだ、と教わったんですか?」
証人 「見栄えよく、バランスよく、と言われました。あとは、自己判断です」
なんだかすごい会社だよな。見栄え優先の耐震強度をしてるんだから。最後は裁判官からの質問。
裁判官 「工事を依頼した人は、バランスがよい工事を求めてたとは思わないんだけど」
証人 「はい。素人の自分がプロを装ってたので、後ろめたさを持ちながら工事してました」
裁判官 「L字金具のほかに現場に持っていってた束柱ホルダーセットっていうのは?」
証人 「柱が短い家の時に持たされていました」
裁判官 「それはどこにとりつけたの?」
証人 「えーーーと、自分の思ったところに」
裁判官 「本来はどこにつけるの?」
証人 「知りません」
適当にもほどがあるでしょ。用途がわからない物を罪悪感を持ちながら取り付けるんだからね。
ちなみに、この証人が勤めていた平成13年当時、この会社で働いていた人は100人弱いたらしい。この証人も含め、逮捕されてない人も含めると、この事件に関わっていた人って、かなりの数になるんだろうなぁ。いまだにこの会社の社長は取り調べにすら応じていないらしいから、事件のすべてが明らかになるのに何年かかるのやら。
阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)
本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。裁判ウオッチャーとして数多くの裁判を傍聴。 月刊誌「創」に裁判傍聴日記の「アホバカ裁判傍聴記」を連載している。主な著書に「裁判大噴火」(河出書房)。
パチスロはすでにプロの域に達している。また、ファッションにも独自のポリシーを持ち、“男のスカート”にこだわっている。定住する家を持たない自由人。パチスロと裁判傍聴で埋めきれない時間をアルバイトで費やす日々。