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阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」

監禁王子はハンカチ王子気取り

 裁判に関するトークライブを行いますんで、ちょっくら宣伝を。

 来週月曜日10月16日に、新宿歌舞伎町のロフトプラスワンで「裁判傍聴のススメ4」が開催されます。このトークライブも4回目かぁ。毎回いろんな裁判関連の人たちが出てくれるから、俺は完全に客気分で司会やってますよ。

議長…阿曽山大噴火
陪審員…今井亮一、礼田計
入廷…18:30
開廷…19:30
入廷料…1000円+飲食料金

で、証人(ゲスト)は、人気ブログ“小明の秘話”でお馴染み、グラビアアイドルの小明さん。他の証人については、秘密主義なのか出演交渉中なのか、教えてもらっていないんで謎なんだけど、当日来た人だけが分かるお楽しみってことで。おひまな方はぜひ。

 今回は、先週10月5日に行われた「監禁王子」こと石島泰剛(逮捕時小林)被告人の第3回公判の傍聴記。

 前回は抽選にハズれたので見られなかったんだけど、今回は24枚の傍聴券に対し29人しか並ばない1・2倍というディープインパクトの単勝オッズのような倍率だったので、なんなく傍聴券を手にし、傍聴してきました。

 まずは、入廷してきた被告人の服装が変。初公判のときは上下真っ白のスーツ(第21回=「“監禁王子”は法廷でファッションショー?」参照)だったんだけど、今回は初公判と同じピンストライプのシャツの上に、胸元にワッペンがついてて、金色ボタンのクリーム色のブレザーを羽織ってるんです。どこかの高校の制服なのか、何かのコスプレなのかは知らないけど…。ドラマ「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」の色違いって感じなんだよね。で、上下おそろいかと思いきや、下は薄水色のズボン。初公判の時は毛先が茶色だったんだけど、多少髪を切ったのか、サラサラとした黒髪でした。とにかく格好には気を遣っている印象。

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再逮捕時の石島被告(共同通信)

 肝心の裁判の方は、検察側の証人尋問。監禁されていた被害女性が助けを求めに入った弁当屋の店員・ガソリンスタンド店長・教会の人、それと捜査本部の係長と事件当時、成城警察署に勤務してた警察官の5人が出廷してました。

 起訴されてる事件そのものを語るんじゃなく、その前後を語る証人だったんだけど、十分にこの事件の異常性がかい間見られた気がしたなぁ。そんな証人の中から気になった1人だけピックアップ。

 平成10年12月16日に、被害女性が被告人宅から逃げ出し、ガソリンスタンドに助けを求めに入ったんだけど、その店の経営者であるおばさんが証人。

 検察官 「あなたのお店に女性が入ってきたとき、どんな様子でしたか?」
 証人 「女の子が“誰かに追いかけられて困る”“警察、警察”とか言いながら、奥の倉庫の方に入っていったんですね」
 検察官 「女性は殴られた跡がありましたか?」
 証人 「顔に青あざと黄色いあざがあって、打撲のような…。黒ずんでるところもあって、殴られたんだろうなって思いました」
 検察官 「それで、あなたはどうしました?」
 証人 「とりあえず、裏にある家の方に連れてってあげて、イスに座らせました。そして事情を聞いてたんですけどね、なんか“私は小林っていうんだけど、勝手に入籍させられた”とか“小林って名前は使いたくない”って言ってました。あと、コスプレ? コスなんとかっていうカタカナだったんで、私はよく分からなかったんですけど(コスプレパーティーのことだと思われる)、そこでその男と知り合って“家にいらっしゃい”って誘われて、家まで行っちゃったんだけど、その晩に“エラいとこ来ちゃったなぁ”って思ってたって言ってましたね。あと…」
 検察官 「ちょ、ちょっと待ってください」

 としゃべり出したらとまらない証人。いったん、さえぎってから

 検察官 「被告人とのことは、何か言ってましたか?」
 証人 「なんか1日中監視されてるところにいたって。それで親が立派な事業をやっていて、弁護士を雇っているから、お前の親が持ってる土地を売っても足りないくらいの金額を請求するとか言われて、それが苦になって逃げずに我慢してたって言ってました」
 検察官 「それらの答えは、彼女の方からしゃべりだしたことなんですか?」
 証人 「いいえ。私が次々と聞いたんで答えてくれたんです」

 法廷でも一方的にしゃべってるおばさんだったから、当時も一方的に質問してたんだろうけど、“逃げたら大金を請求する”って脅迫してたのか。これは冒頭陳述にも出てなかった新事実のはず。冷静に考えれば、かなり幼稚な言葉なんだけど、長い監禁生活で思考回路が低下してたのか信用しちゃったんだろうな。

 他にも捜査本部の係長の証言で、逃げ出した女性が石島被告人の自宅からパソコンを持ち出して警察に提出したのが窃盗行為であるとして、被害女性が書類送検されてという、信じられないような事実も明らかになってたけど、その辺は報道されたんでね、割愛。

 この公判で一番気になったのは、石島被告人の落ち着きのなさ。とにかく“王子”を演じるんですね。この日、1日で

 両手でほおづえ 22回
 片手でほおづえ 45回
 左手で口元を隠すようにして、あごのあたりを触るポーズ 96回

 何だか知らないけど、動作をきれいに見せようとしてるんだよな。ヘンなんだ。

 そして、この日、被告人は風邪気味で鼻をすすってたんだけど、そのうちブレザーの右ポケットからハンカチを出して顔を7回拭いてました。監禁王子からハンカチ王子へとイメチェンを図っているのかね。これは狙ってるな、と思ったね。勾留中でも新聞や雑誌は見られるから。ちなみにハンカチの色は元祖ハンカチ王子の青ではなく、白だったけど。

 しかし、法廷でこの異常な行動はなんだろうね。基本的にはヘンな人なんだろうけど、本人が起訴事実を否認していることも関係しているのかもしれない。監禁と言われている事実も“恋愛の延長”ととらえているようで、当然のように本人に罪の意識はない。罪の意識がないことをアピール、つまり「自分は無罪だ」と言外に主張するための演出なのかな、という気もする。罪を犯して罪の意識がないと厳しく罰せられるから、反省していなくても反省したふりをする被告人はたくさんいる。その一方で、否認案件では被告人が罪の意識がないことをアピールすることはある。例えばニセ有栖川裁判では「これからも『有栖川』の名前を使いますか?」という検察官の問いに被告人は「はい、使います」と元気に答えていたりしていた。このあたりが否認案件の難しさなんだろうな。とにかく、ヘンな人ですよ。

 【19歳少女監禁事件の概要】 兵庫県赤穂市の少女(19)が3カ月以上監禁された事件で、犯行の異常性から注目を集めた。04年2月、インターネットのチャットで少女と親密になった石島(当時小林)泰剛は「東京へ来い。来ないとやくざを送り込んで家をつぶす」と脅して呼び寄せ、賃貸契約を結んでいた東京都足立区のマンションに少女を監禁した。石島は少女に対し「ご主人さまの命令」として言いなりになることを強要。抵抗すると「お仕置き」として暴行を繰り返した。04年6月、石島が電話をしているすきに、少女がマンションを脱出。約100メートル離れた弁当店に飛び込み、助けを求め事件が発覚した。

阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)

阿曽山大噴火・写真

 本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。裁判ウオッチャーとして数多くの裁判を傍聴。 月刊誌「創」に裁判傍聴日記の「アホバカ裁判傍聴記」を連載している。主な著書に「裁判大噴火」(河出書房)。

 パチスロはすでにプロの域に達している。また、ファッションにも独自のポリシーを持ち、“男のスカート”にこだわっている。定住する家を持たない自由人。パチスロと裁判傍聴で埋めきれない時間をアルバイトで費やす日々。



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