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阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」

まるで学級裁判、くだらない?ホリエモン公判

 先週水曜日(11月22日)のニュースから。

 控訴審で福島県内での女性殺害を新たに供述した西本正二郎被告(30)が、調べに対し「女性を殺害したというのは嘘だった」と供述していることがわかった。

 福島県警によると、西本被告は「(新たに)人を殺したといえば、大騒ぎになり、世間や親族が自分を相手にしなくなるだろう。縁を断たれることで現実を受け入れて死にたい」と話しているという。

 第64回での供述は嘘だったわけだ。んーーー、真に迫った証言だと思ったんだけどなぁ。すっかり騙されてしまったな。新聞記事を読むと、嘘をついた理由が、亡くなった方や遺族に対しての気持ちは考えずに、親族との関係を気にかけてるんだよな。

そして、前回の公廷の供述を読み返してみると、母親や自分の家庭環境なんかを語ってる部分が印象強く感じられる。その辺に、今回の嘘の証言の本当の理由がありそうだけど、この被告人の言い分を分析してても仕方ないな。すべてが嘘の証言だったかも知れないし。

 うわさによると、先週月曜(11月20日)の小嶋進被告人の公判に、イーホームズの藤田東吾が傍聴に来ていたらしいんだけど、見てないんで、今回もホリエモンの裁判傍聴記。

堀江
初公判後、報道陣をにらみつける堀江貴文被告(共同通信)

 では、11月21日に行われた堀江貴文被告人の第24回公判の話。

 まずは、慶応大学の教授が出廷して、検察官からの証人尋問。この人は、会計士制度委員会のお偉いさんらしく、専門的な話であまり内容が把握できず。俺の足りない頭で理解できたのは、粉飾額のうち13億円は自社株と判断できることと、自社株売却益の売上高計上は、不適切な会計処理ではあるが違法とは言い切れないことの2つだけ。だから、新聞やニュースで「検察側主張に沿った証言をした」って報道されてたのには首をかしげたけどね。この証人の話はホント難しかったんで、俺が勘違いしてるだけかも知れないけどね。

 証人尋問が1時間程度で終了して、被告人質問です。

 検察官 「あなたは、ライブドアでただ1人の代表取締役でしたね?」
 被告人 「ただ1人、まぁ、そうですね」
 検察官 「(決算説明会で)投資家に対応するためにもファイナンス事業の内容を把握しなければいけないのではないですか?」
 被告人 「限界がありますからね。ファイナンス事業はそんなに大事とは思ってなかったので、宮内さんに任せてたし。小冊子の資料で損益を初めて見るんです。(決算説明会の)前々日くらいに来たから、検討する時間もなかったし。また、ミスプリが多くて、それを指摘するだけで大変で。僕は、将来展望を言う係みたいな」

 投資家のために行う決算説明会の資料がミスプリント、ミスタイプだらけって、なんて抜けてる会社なんだ。

 検察官 「中身も知らないで、説明してたんですか?」
 被告人 「(苦笑い)あのねぇ、社長ってそんなに細かいところまで知らないことが多いんですよ。よく分からないことを説明する方が、不誠実な態度じゃないですか」
 検察官 「無責任じゃないですか」
 被告人 「無責任じゃないですって! これ以上詳しい説明会はないと思います!」
 検察官 「その程度(の説明)でいいと?」
 被告人 「その程度って、イーファイナンス事業だけじゃないですか。その説明だけを取り上げて、適当な説明と言われるのは非常におかしい! 全体の説明を出してもらいたいんですけど。イーファイナンスだけ取り出して、揚げ足、じゃないな、いい加減にしてほしい!」

 大げんかですよ。多分、全体の説明を出せばそれなりにしっかりしてるから検察官も資料を出さないんだろうし、イーファイナンス事業の説明に関しては、アバウトだったことを怒りながら、認めちゃってる被告人。なんだか子どものけんかを見ているようですよ。

 さらに、子どものけんかは過熱するんです。検察官が熊谷史人から被告人に送られたメールを読み上げようとすると

 被告人 「見せてもらえますか? メールって、全部出していただかないと誤解を与えるので」
 検察官 「・・・証拠請求されてないですが」

 と、ここで弁護人が立ち上がって

 弁護人 「見せないなら答えない。ひっかけ質問や隠し玉を出すのをやめようというのが、公判前整理手続きの主旨でもあります」
 検察官 「ま、答えないなら答えないで」
 弁護人 「この点については、黙秘権行使!」
 検察官 「では、質問しま…」
 弁護人 「だから、黙秘権を行使するといってるのに! さらに質問するのは、高裁判決で違法という判例があるんですよ、知ってますか!」

 子どものけんかに親が出てきたってとこですかね。裁判が全然進まないのよ。

 検察官 「では、読み上げるのはやめます。平成15年に熊谷さんとメールのやり取りをした記憶はありますか」
 被告人 「ないっすねぇ」
 検察官 「では、記憶喚起のために。“この内容では株価は上がらない”と返信した記憶は?」
 被告人 「そこの部分だけあげつらって言うのはどうかと。その続きも読んでくださいよ」
 検察官 「ここは私の質問でして、あなたの要求を聞き入れる場ではない!」
 被告人 「“そうじゃないと説明できないじゃん”って書いてあるでしょ!」
 検察官 「覚えてるじゃないですか」
 被告人 「昨日証拠開示受けてるんだから、覚えてるに決まってるじゃん!! だいたい、読み上げてんじゃないすか!!」
 検察官 「あなたが読み上げろって言ったんでしょ」
 被告人 「(苦笑)論理が破綻している。も、いいや」

 まさにカオス。一触即発といった雰囲気ですよ。すると、小坂裁判長が優しい声で

 裁判長 「じゃ、ここで休廷にしましょう」

 と、良い間(ま)で入ってくると、法廷内に笑いが。学校の先生が「とりあえず、給食の時間!」って言って中断させる感じ。もう、刑事裁判っていうより、学級裁判ですよ。なんで、傍聴券の抽選に当たって、大人の口げんか見なきゃいけないんだ。

 午後もいろんな質問があったんだけど、印象的だった部分を1つだけ。

 冒頭陳述の中にもある、売上の計上に関して被告人が「やりきるしかいない」と言ったとされることへの質問。

 検察官 「弁護人からの尋問で、あなたは“やりきるしかない”という言葉は使わないと言ってましたね」
 被告人 「話し言葉では使わないという主旨で答えたんだと思うんですけど。口頭では、とっさに熟語が出てくることが多いんですよ。3字熟語とか4文字熟語とか」

 3字熟語って? “不可解”とか“一匹狼”とか、そういうことかな? 4字熟語って言われて、これまで4回分の被告人質問のメモを見直してみたんだけど、出てきたのは“荒唐無稽”と“一生懸命”だけなんですけど。

 被告人 「話し言葉で“やりきる”とは使わないっすね。文章とか文字表現の時は、そうとは限らないかも」
 検察官 「(以前の証言を)修正するんですね」
 被告人 「全く修正してないっすよ」
 検察官 「平成16年6月25日のあなたのブログ。“ライブドア証券誕生”には、“今日は~中略~いろいろ大変だと思うが、やりきるしかない”と。書いてありますね」
 被告人 「はい。他にありました?“やりきるしかない”って」
 検察官 「質問するのは私ですから。“やりきるしかない”って使うんですね(笑)」
 被告人 「とっさの時は、2字熟語しか出てこないから使っちゃうんで、ブログみたいにじっくり考えて書くときは、分かりやすい適切な表現にすることはありますよ」
 検察官 「何度も書き直したりするんですか。(それなのに)あなたのブログは堅苦しくないですね」
 被告人 「まぁ、そう考えなくもないですね」

 あぁ、くだらん。全くもってくだらない裁判だ。検察庁では過去のブログに“やりきるしかない”って記載を見つけて大喜びだったんだろうな。でも、それが「やりきるしかないよね」と被告人が言った証拠にはならないでしょ。で、被告人も、話す時に“やりきるしかない”とは言わないって断言してるのも、どうなのよ。場合によっては、言っても変じゃない言葉だと思うんだけど。

 検察側としては、堀江被告人の発言、存在がライブドアの中でどれだけ力を持っていたかを証明しなきゃいけないんじゃないのかね? 被告人としては、裁判官の心証を悪くしないように、大人気ない態度は控えるべきじゃないのかね? なんで、こんなにエンターテインメント化してんだ? お互い大きく報道されることはわかっているはずなのに。

 これは全国民に“日本の裁判はダメなんだな。変えないと”と重い腰を上げさせる裁判員制度のキャンペーンってことは…考えすぎか。それぐらいくだらない裁判だね。

阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)

阿曽山大噴火・写真

 本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。裁判ウオッチャーとして数多くの裁判を傍聴。 月刊誌「創」に裁判傍聴日記の「アホバカ裁判傍聴記」を連載している。主な著書に「裁判大噴火」(河出書房)。

 パチスロはすでにプロの域に達している。また、ファッションにも独自のポリシーを持ち、“男のスカート”にこだわっている。定住する家を持たない自由人。パチスロと裁判傍聴で埋めきれない時間をアルバイトで費やす日々。



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