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阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」
公判で“森本レオのささやき”が第1位
あけましてナントカって、やつですね。なにも元旦に更新しなくてもいいと思うんだけどねぇ。そんな話はさておき、ちょいと宣伝。1月17日にロフトプラスワンで「裁判傍聴のススメ5」というトークライブを行います。
議長:阿曽山大噴火
陪審員:今井亮一、礼田計
証人:坂本敏夫、他
入廷:18:30
開廷:19:30
入廷料:1000円(飲食別)
気がつきゃ5回目か。暇ならどうぞ。
さて、今回は特別編ってことで、2006年を振り返り、個人的にいろんなベスト3を決めてみました。まずは、裁判官に注目してのベスト3!
ストレス発散のために、119番にうその通報をしたという事件。
裁判官 「また、いたずら電話しないかね?」
被告人 「真面目に仕事して、寄り道せずにまっすぐ帰ります」
裁判官 「本当? 遊びたくないの?」
被告人 「いいえ!(遊びたくないの意か?)」
裁判官 「あと、彼女とはどうなったの?」
被告人 「彼女は作らないで、真面目に働きたいです!」
裁判官 「おい、ちょ、ちょっと待てよ。それは無理だろう。言ってること分かってるか?」
なんか人間くさい裁判官で好印象だよなぁ。被告人が20歳だったから、自分の息子に話しかけている感じだったんじゃないかな。世間が抱いている裁判官のイメージとはちょっと違う。実際傍聴すれば、こういうフランクな裁判官の多いのはわかることなんだけどね。
匿名掲示板「2ちゃんねる」に、小学生・エイベックス社員の殺害予告などを書き込んだ、という事件。
裁判官 「これで匿名でやっていると、相手にされたいって欲求は満たされないんじゃない?自分の実名出すならわかるけど」
被告人 「自分の書いた文章に反応があれば、それで満足してました」
裁判官 「ふーーん、あと、そもそも何で人に好かれないと?」
被告人 「…」
裁判官 「1人でいればいいでしょ」
被告人 「やっぱり仕事をするとなるとチームワークが必要になるので」
裁判官 「チームワーク組まなきゃいいじゃん。人と付き合わない仕事を探せばいいじゃん」
裁判官 「人付き合い下手なんでしょ? 下手でいいじゃん。そういう人いっぱいいるし。自分の殻に閉じこもって生きてても、それでも生きてる価値は十分あるじゃない」
被告人 「はぁ…」
裁判官 「あなたはこうして会話もできるし、さっきから話を聞いてると頭もいいしね。理知的に話すし。どうなの? 人付き合いができないのはカッコ悪いのかね?」
被告人 「それはあると思います」
裁判官 「何でカッコ悪いの? 見栄でしょ?」
被告人 「見栄っぱりのところがあるかもしれません」
裁判官 「見栄なんか捨てればいいじゃん。人にはそれぞれ特性があるんだから。どんな人も、世間に迷惑かけずに生活していくべきなんだよ」
“じゃんじゃん”うるさい感じはあるけど、方言でもあるし、そこはいいとして。俺には親身になって被告人のことを心配してるように見えたなぁ。一方的に被告人の思いを決め付けてる印象もあるけど、被告人も納得してるようだったし、OKでしょ。
第1位 ジャニーズJr.のストーカーおばさんに粋な裁判官は…(第39回)
アイドルグループ「ジャニーズJr.」の元メンバーにストーカー行為を繰り返したという事件。
裁判は、実家から父親が情状証人として出廷してました。「逮捕されてから1カ月たって連絡が来たんですよ」「マンション購入の頭金を与えたかわりとして、職業はかえるなと言ったのに、仕事をかえたことを何も言ってくれなかった」等々、娘とコミュニケーションがうまく取れなかったと言いながら、大号泣。泣きすぎてしゃべれなくなると、
裁判官 「お気持ちはお察しします。落ち着いてから、お答え下さい。…私も娘がいるので分かりますよ。娘は母親とは話すけど、男親って正直に話づらいってあるじゃないですか」
~中略~
被告人質問がすべて終わり、検察官が懲役1年を求刑。これで閉廷かと思ってたら
裁判官 「15分後に判決にします」
と即日、判決です。結果は、懲役1年の執行猶予3年。判決理由を読み上げた後、
裁判官 「これは私の無責任な発言かもしれないけれど、自分の感情で行動するのは社会人として許されないよね? 『会いたい人に会って何が悪い?』って考えてるのかと思うよ。私は医者じゃないから分からないけども、社会人の先輩として、そう思うよ。帰りの電車で2人きりになるんだから、父さんと心を開いて話した方がいいよ。(傍聴席に向かって)お父さん! 聞いてあげてくださいね」
裁判官が自分のプライベートについて話すのが珍しい。個人的に何か思うところがあったのかね。父親としての発言が多かったからね。それが結果的に、新幹線に乗ってやってきた父親と一緒に帰らせるための即日判決、として形になったと思うんだけどね。
次は、弁護士ベスト(ワースト?)3!
元ドリカムの西川隆宏被告人が覚せい剤の所持で逮捕された、という事件。涙が止まらない被告人に対して、弁護人からの質問です。
弁護人 「あと、お姉さんからファックスが届いています」
と、応援メッセージを見せると、大号泣。被告人を法廷で泣かせた方が、笑ってるより心証がいいのは分かる。でも、24時間テレビじゃないんだから、応援ファックスで泣かせるのはどうなのよ。しかも、たった今届いたかのような言いっぷりだったからなぁ。
第2位 エスパー清田、超能力より驚かされるぶっとび弁論(第70回)
超能力者と称してテレビなどで活躍していた清田益章被告人が大麻所持などの容疑で逮捕された、という事件。
弁護人 「私は被害者のいない犯罪は無罪であるという考えを持っておりまして」
この一言ですよ。あくまで、被告人の刑罰を軽くするための発言だとは思うけどね。一応、大麻には幻覚作用があるって言われてるからねぇ。被害者が出なかったのが、不幸中の幸いなんだけど。
大正時代に断絶した有栖川宮をかたって披露宴を開きご祝儀を詐取したという事件。森本レオ風といっても、耳元で「ほら、半分入ってるよ」とか、そういうのではありません。念のため。
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| 恋は落ちるもの…の坂本被告 | |
弁護人 「話は変わりますが、皆さんの隣にいる人が皇室関係者であるか否か分かりますでしょうか。代々さかのぼって、血筋・血統を見れば、相当の人がそうかもしれません。世の中、分からないことが多いのです」
そう言い終えると、今度は坂本被告人の方を見て
弁護人 「坂本被告人は以前、この法廷で“恋は落ちるもの。愛は育てるもの”(純愛か緻密な計算か…“有栖川”晴美の公判=第41回)と発言しました。その瞬間、傍聴席からは失笑が漏れました。しかし、これを笑った人は、不幸なのであります。胸に手をあて、考えてみて下さい。…この言葉の重さが分かるでしょうか?」
森本レオのような優しい優し~い声で語ってました。こう書くと何かヘンな想像をされてしまいそうだが、とにかく、公判の場で最終的に非法律的に締められてもねぇ。無罪主張なのに。被告人はもちろん、弁護人もすごかったな。
最後は公務員の裁判ベスト3! 去年は裏金やら談合やら公務員の事件が多かったからね。
防衛施設庁が発注した空調工事で建設共同企業体が落札できるように協定した、という事件。
弁護人 「そもそもあなたが公務員になろうと思ったのはなぜですか?」
被告人 「国のために仕事ができること。自分の身分が保証されていること。あとは、定年後も職場を保障されてるってことですね」
定年後の職場が保証されていることを知ったのは、防衛庁に入ってからでしょ。保証されてるから公務員を目指す人がいても構わないんだけどさ、不純だな。
足立区職員だった被告人が7人の住民票など不正に入手した、という事件。
弁護人 「こんなことをした理由は何ですか?」
被告人 「検察官の言う通り。のぞき趣味。見たかったからというのが理由です。友達のケータイがつながらなくて、照会したのが始まりで、それで個人情報が分かってくるのが面白くなってやってしまいました。例えて言うなら、社会保険庁が芸能人のデータを見てしまった、というのに似てると思います」 のぞき趣味って言われてもね。個人情報がそんなところからそんな理由で漏れるとは。楽天の個人情報漏えい事件(盗んだ個人情報には女性の下着のサイズも・・・=第22回)を見てもわかるけど、大元で行われたら防ぎようがないですね。
内閣府勤務の被告人が無免許で運転中に事故を起こし、助手席の知人に身代わりを依頼したという事件。
検察官 「身代わりを頼んだ女性・・・毎週、週末に会ってた愛人の関係にあったようだけど・・・」
と、被告人との関係を明らかにしながら
検察官 「その女性とは今後も付き合いを続けるんですか?」
被告人 「もう別れました」
検察官 「何で?」
すると、口をとがらせ、すねたような声で
被告人 「だってー、付き合っててもしょうがないから」
ここまで開き直られると、逆に気持ちいいけどね。法廷にはその愛人はいなかったと思うけど、この発言を知ったらどう思うんだろう。
個人的には、俺たちに明日はない・アキバ編(第43回)がベストかな?
事件もB級ニュースとして報道されてたちょっとマヌケな内容だし、被告人もしっかり反省している。裁判官も、関西からやってきた父親があるためか即日判決で。それが原因で愛する男と離れ離れになるメロドラマもあって、なんか、このカップルにはこの先がんばってほしいなぁ、と思わせる何かがあるし。味のある裁判でしたね。
というわけで今回は総集編でした。来週は裁判がないので、次回は再来週(1月15日公開)。
阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)
本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。裁判ウオッチャーとして数多くの裁判を傍聴。 月刊誌「創」に裁判傍聴日記の「アホバカ裁判傍聴記」を連載している。主な著書に「裁判大噴火」(河出書房)。
パチスロはすでにプロの域に達している。また、ファッションにも独自のポリシーを持ち、“男のスカート”にこだわっている。定住する家を持たない自由人。パチスロと裁判傍聴で埋めきれない時間をアルバイトで費やす日々。
