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阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」

韓国人説教強盗「日本は滅びる」

 ゴールデンウイークってことで、来週はこのコーナーはお休みです。なので、公判予定は来週分を載せておきます。

 3月に発行されているのは知ってたんだけど、ついに購入しましたよ、「裁判員になりました~疑惑と真実の間で~」。日本弁護士連合会が監修して、漫画「家裁の人」の毛利甚八さんが原作の裁判員漫画ですよ。ウワサには聞いていたけど、すごい内容だ、なぜか、ロックスターが裁判員に選ばれたり、「法廷でうそをつく被告人をたくさん見てきた」と発言して、素人の裁判員に怒られる裁判官。裁判官をちょっと悪い人ととして扱いつつ、裁判員制度を説明する書物は多分、これ以外にないんじゃないか? 実際、裁判員制度が始まったら、もっと驚くようなことが起こるかもしれないけど、「事実は小説より奇なり」なんて言うしね。とにかく、興味のある方は、読んでみてくださいな。なんと、1冊100円。

 さて、今回は4月24日に行われた李仁星こと李辰世(イ・ジンセ=韓国)被告人の裁判の話。罪名は住居侵入・窃盗・強盗致傷・強盗・窃盗未遂・強制わいせつなどなど…。初公判が06年の9月5日で、追起訴が多すぎて把握できていません。

 逮捕のきっかけになったのは05年8月、東京・渋谷区でひとり暮らしの女性宅に強盗に入り、キャッシュカードなどを奪った事件。李は銀行のATMが稼動するまで4時間に渡って居座り、しばり上げた女性の恐怖心を和らげるために肩をもむなどしてから逃走。その際、女性が「再発行の手続きが面倒なので、キャッシューカードだけは返して」と懇願したため、翌日カードを封筒に入れて、女性宅に郵送した。

 犯行時、李は特徴のあるリュックサックを背負っており、事件後、捜査員にJR渋谷駅で同じリュックサックを背負っているところを発見されてしまった。職務質問を受け、被害女性宅に郵送した手紙の切手から採取されただ液のDNAが一致したので、逮捕された。

 そして、逮捕から約1カ月後に再逮捕された。これも別の女性宅に強盗に入ったという事件で、この女性の部屋にも5時間近く居座り「同じ姿勢でつらいだろう」と両手をしばった女性の肩や背中をマッサージ。「この国は寂しい。(女性は)結婚しないし、子供も生まない。この国は滅びる」などと説教、最後は握手して去ったという。

 卑劣な犯罪者に「この国は滅びる」と心配されてもなあ。というか、他人の国を心配するより、自分の国を心配した方がいいんじゃない? 2005年の合計特殊出生率を日本と韓国で比較すると日本が1・26、韓国は1・08で韓国の方が低いんだけど(資料は韓国統計庁など)。

 さらに、3カ月後には李がらみでユニークなニュースが伝えられた。李が自分で考案したピッキング対策の鍵を売り出そうと特許を申請していたことが警視庁の調べで分かったというもの。伝えられたところによると、李は狙った部屋の合鍵を作っては、深夜や未明に強盗に押し入るという犯行を繰り返していたが、習得した鍵の技術を悪用して特許申請したらしい。

 ツッコミどころが多すぎる事件です。切手に付着しただ液のDNAが決め手となる科学捜査のすごさ、キャッシュカードを返却した謎、自分で被害者をしばっておきながらマッサージ、そして、ピッキング対策の鍵の特許申請。あまりにドラマ的で不可解なんだけど、裁判の方がすごかった。ここ数年で、印象に残った裁判の1つですね。

 ということで、この裁判のクライマックスである3月14日と4月24日に行われた被告人質問を合わせた傍聴記です。

 まずは、弁護人からの質問。

 弁護人 「起訴されている内容は、すべてあなたがやったことに間違いはないんですね」
 被告人 「はい、間違いございません」

 多少の外国語なまりがあるものの、通訳を必要としない流ちょうな日本語です。ま、被害者に説教してたんだから当然か。

 弁護人 「マンションに侵入する際、合鍵を使用していますが、どうやって作るんですか?」
 被告人 「私が作っていたのはディスクシリンダーなんですが、(鍵穴の)中には板が10枚入っています。その板1枚で5つのパターンの鍵が必要なんです。その板が10枚ですから、5×5×5×5×5×5×5×5×5×5の、5の10乗。1000万通り以上もあるわけです(※実際は976万5625通りで1000万以下)。だから、私は作りやすいオートロックのマンションの方を作っていたんです」

 喜々として合鍵の作り方を語っている被告人の発言をさえぎって、裁判官が、

 裁判官 「え? オートロックの方が作りやすい?」

 この裁判官がオートロックのマンションにお住まいなんでしょうか。興味本位での質問のようでした。

 弁護人 「なぜ、オートロックマンションの方が作りやすいですか?」
 被告人 「オートロックの場合は…(※模倣犯が出ると困るので詳細は伏せます。その種のマンションに住んでる方はお気をつけください)…なので、作りやすいんです」
 弁護人 「なぜ、そんなことになってるんでしょう?」
 被告人 「今まで、100種類以上の鍵を作ってきましたが…、企業の手抜きじゃないかと思います」

 合鍵強盗犯のプロが語る、オートロックマンションの欠陥。法廷内の全員が驚くとともに、ため息を漏らしている感じです。

 弁護人 「そういうマンション以外の合鍵も作っていますけど、それはなぜですか?」
 被告人 「さっきも申しましたが、10枚の板が入っているのが普通なんですが、1枚とか2枚抜けているものがあるんですね。板が1枚ないだけで、5の9乗(195万3125通り)で5倍作りやすくなるわけです。2枚抜けていれば、5の8乗(39万625通り)でさらに作りやすくなります」
 弁護人 「10枚入っているか分かるんですか?」
 被告人 「鍵穴に(合鍵の元になる金属を)跡が残るので、それを見れば“板が抜けているな”とわかります」
 弁護人 「その合鍵は、簡単に作れるものなんですか?」
 被告人 「工具で合鍵を(手作業で)削るわけですから、大変きつい作業でございまして。簡単に作れるもんじゃないです!」

 反省しているからこそ、ここまで正直にしゃべってるんだろうけど「きつい仕事」って言い分はどうなのよ。

 弁護人 「時間はどれくらいかかるんですか?」
 被告人 「1本作るのに、1時間35分かかります」
 弁護人 「なるほど。で、板が抜けている鍵があることを知ったのは、なぜですか?」
 被告人 「99年に特許のためにディスクシリンダーを買って分解したところ、欠陥を発見しました」
 弁護人 「何個買って、欠陥はどれくらい出ました?」
 被告人 「50個以上買いましたが、半分以上板が抜かれていました。中には、3枚も抜かれているシリンダーもございました」
 弁護人 「なぜ、抜いているんでしょうか?」
 被告人 「コスト削減のためだと思います。これは会社の不祥事だと思って、メールを送ったこともあります」

 これがすべてほんとのことなら、すごいことだ。合鍵強盗の裁判って少なくないけど、ここまであけすけに被告人が鍵の構造を語るのは珍しい話。すると、

 弁護人 「この裁判で、すべて話すのはなぜですか?」
 被告人 「ピッキング(が報道されて)から10年もたっているのに、欠陥に関しては全く触れられていません。今も、年2000件のピッキング被害があります。それらを減らすために言いたかった…。手抜きシリンダーがこの世からなくなることを祈っています」

 欠陥が事実なら、ごもっともの意見なんだけど、お前が言うなよ!って話ですね。

 法廷にいる人全員が「へぇ~」と勉強になっている中、やっと事件の質問開始。

 弁護人 「Aさんの件ですが、なぜ、キャッシュカードを送ったんですか?」
 被告人 「Aさんが『全部持っていかれたら困る』と言ってましたんで、送り返しました。私としては、被害者の要望に答えようと思ってました」
 弁護人 「ん、まぁ、被害者としては、あなたが来ない以上の望みはないでしょうけど

 もう、弁護人なのか検察官なのかよく分からなくなってくる一言ですね。後で、検察官に厳しく追及される前に、先に怒っておく作戦なんでしょうか。

 弁護人 「次はBさん宅へ侵入、と。やめようとは思わなかったんですか?」
 被告人 「Bさんには『鍵は○○製に替えたほうがいい』とアドバイスしたんです。しばっている間、雑談とかしますので。それで、後日、同じマンションに入ったとき、Bさんの部屋の前を通ったら、アドバイス通りの鍵に替わってたんで『いいことしたなぁ』と」

 もう、笑うしかないでしょ。

 弁護人 「Cさんの件ですが、マッサージしてますけど、女性の体を触るのが目的だったんじゃないですか?」
 被告人 「マッサージが目的なのか、体を触るのが目的なのかは、女性の方が分かると思うんです。被害者の方が『マッサージされた』と言ってるのが、何よりの証拠だと思います」
 弁護人 「分かりました。その後、Cさんの会社に電話したのはなぜですか?」
 被告人 「Cさんが『強盗が来たから今日は会社に行けなくなる』と言っていたので、こんな状況で仕事のことを気にするなんて、と思って、無断欠勤にならないように電話をしてあげました」

 一瞬、やさしい人だなって思うんですけど、他人事のようにしゃべる被告人に、恐ろしさを覚えますね。

 弁護人 「次がDさん」
 被告人 「カードは盗ったんですが、ウソの暗証番号を教えられて、失敗でした」
 弁護人 「Eさんの場合は?」
 被告人 「大声を出されたので、2000円だけ盗って逃げました」
 弁護人 「その後、しばらく強盗やめてますね」
 被告人 「…強盗に向いていないのかなぁと思って…」
 弁護人 「向いていたら困るわけであってね」

 そもそも強盗の向き不向きって何よ? 変な会話だ。

 弁護人 「韓国に帰ったんですよね。でも、1年後、名前を変えて戻ってきたのはなぜですか?」
 被告人 「彼女が日本にいましたし、母親からの宗教の勧誘がひどくて逃げたかった…」

 彼女を置いて、1年も実家に帰ってたということなのか? 日本に戻ってきた理由より、韓国に帰った理由の方が気になるけど、それは明らかにはされませんでした。しかし、強盗犯を逃げだしたい気持ちにさせてしまう韓国の宗教の勧誘って、一体どんな宗教なのか。たとえば“御利益”のある壺を売りつ…まあ、ここはこれ以上突っ込まないことにしましょう。そもそも本当のことかどうか分からないし。

 弁護人 「で、Fさん宅に入って、(被害者に)命乞いしたそうですね」
 被告人 「スペイン人だったんですが『仕事が見つからないんです』と言ったら、許してくれて…」
 弁護人 「3回連続で失敗して、やめようと思わなかったですか?」
 被告人 「名前を変えて、入国した時点で、自分には強盗しかないと思ってたので」
 弁護人 「そういうわけですか。で、Gさんの件ですが、カメラを持ってたのはなぜですか?」
 被告人 「今までのやり方ではダメだと思ったので、Gさんに『警察に言ったら、裸の写真をインターネットに流しますよ』と。でも、実際はフィルムは入ってませんでした」
 弁護人 「次はHさんだけど、わいせつ行為は?」
 被告人 「してません」
 弁護人 「でも、トイレに連れてってますね?」
 被告人 「それは被害者が『トイレに行きたい』と要望したので、逃げないようにしばったまま連れて行きました。で、「パンティーが上げられない」と自分に言ってきて、困ったなぁ、しばらなきゃ良かったなぁ~と思って、電気を消して、見ないようにしてからパンティーを上げてあげました」

 すると、検察官が資料を見ながら、

 検察官 「ん? 誰の話?」

 さらに裁判官も資料を見て、

 裁判官 「Hさん、男だよ
 弁護人 「あ、あれ? Gさんか? ん? Iさんの話だったかな」

 と、被害者が多すぎて勘違いしていました。数が多いと大変だなぁ。混乱しながらも、11人の被害者に関して、すべて質問終了。

 弁護人 「盗ったお金の使い道は?」
 被告人 「パソコンの習い事と、運転免許で借金がありましたので、その返済。あと、妹のアメリカ留学の費用です」
 弁護人 「ちなみに妹さんはどんな存在?」
 被告人 「非常にしっかりした、家族のことをみてくれた、かけがえのない妹です」
 弁護人 「強盗のお金と知ったら、どうすると思います?」
 被告人 「…それが分かったら…留学してないと思います…」
 弁護人 「この裁判を知ったら、どう思うでしょう」
 被告人 「…」
 弁護人 「最後に言いたいことは?」
 被告人 「一生償っていきます。厳しく処罰してください!」

 妹の話が出てからは、涙をこらえるような震える声で、答えてました。元々、悪い人ではなさそうなんだけどなぁ。なんで、ここまで悪いことを続けられたのか不思議だ。

 この後、検察官と裁判官から質問があったんだけど、弁護人が質問しすぎたためか、なぞるような内容でした。

 正直にしゃべるにしても、申し訳なさそうじゃなく、はきはきと堂々としゃべる姿が反省してるように見えないんだよね。それは、韓国の国民性なのか、被告人のキャラクターなのか。とにかく「自分がこうなったのは〇〇のせいだ」などと責任を他者に押し付けたり、都合の悪い事実をわい曲したりせずに「ここにいたった責任はすべて自分にある」という“正しい歴史認識”を持つのが大事だと思うよ。

 次回、求刑。次々回判決だそうです。


阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)

阿曽山大噴火・写真

 本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。裁判ウオッチャーとして数多くの裁判を傍聴。 月刊誌「創」に裁判傍聴日記の「アホバカ裁判傍聴記」を連載している。主な著書に「裁判大噴火」(河出書房)。

 パチスロはすでにプロの域に達している。また、ファッションにも独自のポリシーを持ち、“男のスカート”にこだわっている。定住する家を持たない自由人。パチスロと裁判傍聴で埋めきれない時間をアルバイトで費やす日々。



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