- 社会メニュー
-
阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」
有名ジャーナリストがウ○コをポストに投げ入れた理由
先週放送の「朝まで生テレビ」のテーマが「検察の正義とは何か?」だったんだけど、途中で眠ってしまって大後悔。誰か録画している人いないかなぁ。かなり面白い内容だったんだけどねぇ。裁判員制度開始も近づいてきて、この手の議論は活発になるのかもしれないですね。
今回は11月30日に行われた若宮清被告人(61)の裁判の話。罪名は住居侵入。有名なジャーナリストが女性宅の郵便ポストに排泄物を投入し、大きく報じられた事件ですね。これが名もない“自称ジャーナリスト”なら大きな騒ぎにはならなかったのでしょうが、暗殺されたフィリピンの元上院議員、ベニグノ・アキノ氏や韓国の金泳三元大統領らと親交を結ぶなど国際的に活躍するジャーナリストだっただけに大きく扱われるのも当然でしょう。世界をまたにかけて活躍し、テレビでコメントをしていた立派な方が、排泄物をビニールに入れて女性に嫌がらせというギャップに驚かされた人は多いはず。
報道によると7月20日、フリージャーナリスト若宮清は、かつて交際していた女性(30)が住むマンションに勝手に侵入。1階の女性の郵便ポストにビニール袋に入れたウ○コを投入した。逮捕された若宮は「マンションには行っていない。それ以上はしゃべらない」と犯行を否認した上で、取調べに対して黙秘を続けた。
逮捕した世田谷署では、証拠品として保管している大便が誰のものであるか特定を急ぎ、大便と若宮との関係についても細かく調べ、女性を執拗に追い掛け回したとしてストーカー規制法違反の容疑でも捜査を進めた。
報じる立場のジャーナリストが報じられる立場になった事件です。ネタを提供したという意味ではジャーナリストらしいけど。
逮捕時のニュースでは、否認&黙秘ってことだったんだけど、裁判では「間違いありません」と罪を認めていました。
検察官の冒頭陳述によると、被告人と被害者は平成16年に知り合って、交際を始めるが、数カ月で別れることに。被害者は平成17年の11月に他の男性と同棲を開始。被告人は平成18年12月からヨリを戻すために手紙やEメールを繰り返し出すようになるが、徐々に内容が卑猥なものになり、中には汚物がついた手紙を送ったこともあったらしい。被害者の実家に無言電話をかけたり、いやらしい音声を受話器から流したりしていたとのこと。
そして、7月20日の犯行当日。被告人は被害者マンションの1階に侵入し、被害者のポストにビニール袋に入った自分の便を入れる。さらに、被害者の部屋の前まで行って、ドアノブに黄色いバイブレーターをぶらさげたとこのこと。その後、「隣人に迷惑がかかれば、引越しせざるをえなくなる」と考え、被害者の隣の部屋の新聞受けにも便が入ったビニール袋を入れたらしい。
本件の半年も前から嫌がらせ行為があったみたいだから、ストーカー行為の方でも起訴すべきだと思うんだけどね。示談が成立して、被害者も刑事告訴を取り下げてるってことで、前述のとおり住居侵入のみの起訴のなった模様。被害者と話がついたとしても、被害者の実家と隣人が被った迷惑が罪に問われないのは変な感じですね。
![]() | |
| 著名なジャーナリストの若宮清 | |
被告人には妻もいて、仕事で知り合った仲間も職業上たくさんいると思うんだけど、情状証人は出廷せず。いきなり被告人質問です。
弁護人 「起訴状に間違いありませんね」
被告人 「間違いありません」
弁護人 「ストーカー規制法が平成12年に施行されたのは知っていますか?」
被告人 「テレビで知っていました。ただ、具体的にはよく分かっていませんでしたが、警察官に重々に説明を受けました」
ワイドショーでコメンテーターやってた人が、具体的に分かってないって。その程度の認識で、社会や事件を斬っていたわけか。
弁護人 「今、被害者に対してどう思ういますか?」
被告人 「彼女だけでなく、(被害者の)お母様が(たび重なる無言電話のせいで)病気になられたと知って、大変なことをしたと後悔しております」
弁護人 「こんことをした原因はなんですか?」
被告人 「彼女に対する未練だったと思います」
弁護人 「実家にまで電話したのはなぜですか?」
被告人 「ひょっとしたら、彼女が出るんじゃないかと」
この一言から推測すると、被害者はいったん、実家に戻っていたのかもしれないですね。でも、無言電話だったり、いやらしい音声を流すだけ。もし被害者が電話に出たとしても、ちゃんと話をする気があったのかも疑わしいところです。そして、弁護人は最後に、
弁護人 「新聞、テレビで本件の報道見ました?」
被告人 「僕がよく出ていたスーパーモーニングや、みのもんたさんの“やじうま”とか。人生終わったなと。刑事罰云々というより社会への影響が大きいなと」
残念ながら、みのもんたの番組は“やじうま”じゃなくて“朝ズバッ!”なんだけどね。それはともかく、社会的な制裁は受けているという主張のようです。次は検察官からの質問です。
検察官 「なんでこんなことしたんですか?」
被告人 「当時は普通の判断ができず、常軌を逸していたと思います。狂気じみたといいますか、嫉妬(しっと)に狂った、と」
検察官 「どんな気持ちでやってたんですか?」
被告人 「ずっと悪いことをしている意識はありましたので、汚物を置いて1分で出てきまして…」
マンション内にいた時間は関係ないでしょ。時間を主張するなら、汚物やビニール袋を準備するのにどれくらいの時間を要したのよ。だいたい、本件の半年前から、ストーカーまがいの行為はあったわけだし。
検察官 「だいたいね、あなたは結婚しているし、(被害者と)年も離れているし、素直に別れ話を受け入れるべきじゃないんですか」
検察官から正しい不倫関係のあり方が提案されると、
被告人 「身を引いていれば、こうはならなかったと思います。…(新しい彼氏が)立派な方だったらいいんですが、悪いうわさを聞きつけまして、未練ややさしさもあって、2人を別れさせてやると考えてしまいました」
と、本件の動機を述べていました。思いやりで汚物ですか。そして、検察官から最後の質問。
検察官 「社会的地位もある人がなぜこんなことをやったんでしょう? 今から分析すると」
元コメンテーターに事件を分析してもらおうとする、非常にイヤミな質問です。
被告人 「彼女への欲望が常識を超えていたと思います。当時は狂気じみていて、なぜこんなことをしたのか」
検察官 「分かりませんか? 分析できないと、またやるのではないですか?」
被告人 「いや。死にたい…まではないですけど、絶望を感じていましてですね。40日間身柄を拘束されて、あらためて(本件について考え)…、同じことをするなんて、ありません」
と、コメントしたところで質問終了。
この後、検察官は懲役1年を求刑して閉廷。
被害者に対する未練がたび重なるストーカーまがいの行為の原因なのは分かったけど、ここまで暴走した理由が分からないんだよね。被告人も「狂気じみて」と答えるばかりで。
元コメンテーターなら、検察官の言うように、テレビで分析してみたらどうよ? たとえば、クサノさんの番組に出てこんな感じで。
クサノ 「被告人は悪い男と別れさせよう、ということで一連の行為は思いやりからだったとも言ってるんですけどね」
若宮 「それはねえ、まあ、年が親子ほど離れてるから、そういう思いはねえ、分からないでもないですけど」
クサノ 「しかし、排泄物をポストに入れるのが思いやりと言われましてもね…」
若宮 「まあ、クサい仲ってことですかねえ」
クサノ 「…」
若宮 「動物の場合、マーキングといって自分のニオイを木などにこすりつけて縄張りを主張したりしますから、その流れの中で考えれば、この事件のナゾも見えてきそうな気もしますが」
クサノ 「つまり、犯人は郵便ポストにマーキングをして、あくまでもこの女性は自分のモノである、と…。縄張りを主張するために行為に及んだ、と」
若宮 「ま、その思いが強くてですね、単にこすりつけるだけでは不安だったために、直接“ブツ”でマーキングをしてしまうという行為に出た可能性はありますね」
クサノ 「ほほー」
なんてことはないだろうけど、とにかく、それだけ説明がつかない異常な犯行ですよ、これは。「40日間拘束受けたから、二度としない」って言われても納得いかないなぁ。元コメンテーターだったら的確に答えてほしかったね。
阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)
本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。裁判ウオッチャーとして数多くの裁判を傍聴。 月刊誌「創」に裁判傍聴日記の「アホバカ裁判傍聴記」を連載している。主な著書に「裁判大噴火」(河出書房)。
パチスロはすでにプロの域に達している。また、ファッションにも独自のポリシーを持ち、“男のスカート”にこだわっている。定住する家を持たない自由人。パチスロと裁判傍聴で埋めきれない時間をアルバイトで費やす日々。
