半日にも満たない逃走劇だった。20日午後0時25分ごろ、福岡市中央区天神1丁目のみずほ銀行福岡支店から引き出した現金3億8400万円を男らに奪われたと、男性会社員(29=東京都足立区)から110番があった。男らは3人組とみられ、県警が強盗致傷容疑で行方を追い、同日夜に福岡空港で多額の現金を持った韓国人の男らを確保。奪った現金を海外へ持ち出そうとした可能性があるとみて事情聴取を始めた。

 「強盗、強盗だ!」。近くに福岡市役所などがある白昼のオフィス街に叫び声が響き渡った。白いワンボックス車が、猛スピードで走り去っていく。被害に遭った男性は、取り乱した様子で、車を見失うと携帯電話を耳に当てて、数分後にはパトカーや警察官が駆けつけた。

 現場は、銀行と道を挟んで向かい側にあるコインパーキング。男性が現金3億8400万円の入った黒いスーツケースを駐車中の車に乗せようとした際、後方から顔面にスプレーのようなものを吹き掛けられ、ケースごと奪われた。

 「男性が大声を上げながら、駐車場内で白い車を追いかけていた」。近隣のビルで働く女性は、窓からその様子を目撃した。急発進した車は入り口のバーを折って右折、細い裏道を走っていったという。複数の人が「キキッー!」というタイヤ音も聞いていた。

 被害男性は、顔やのどに軽傷を負った。都内の貴金属店に勤務、出張で福岡に来ていた。銀行側には事前に引き出しの予定を伝え、1億9200万円ずつ、2回に分けて窓口で下ろしたという。「引き出した金で金塊を買い付ける予定だった」と話した。

 福岡県警によると、容疑者は3人組で、現金の引き出しを事前に把握していたとみられる。155人態勢の県警捜査本部は、この日夜に福岡空港で多額の現金を持った男らを取り押さえた。国際線ターミナルで確保したとみられ、男らは奪った現金を海外へ持ち出そうとした可能性がある。

 男らは、強盗致傷事件の現場で目撃された男らと特徴が異なり、所持していた多額の現金も強奪された現金と金額が違うという。県警は慎重に捜査を進める。警察庁によると、戦後の現金強奪事件の被害額としては4番目の多さだった。