東京・六本木交差点近くの繁華街にあるビル工事現場で、14日午前9時50分ごろ、10階付近から鉄パイプが落下し、歩道を歩いていた無職飯村一彦さん(77)の頭に刺さり、貫通した。

 東京消防庁の救助隊が鉄パイプを切断し、飯沼さんを病院に搬送したが、搬送先の病院で死亡が確認された。一緒に歩いていた70代の妻も病院に運ばれたが、けがはなかった。

 現場は東京メトロ日比谷線六本木駅から約300メートル離れた繁華街のビルで、午前9時から外壁工事で使った足場の解体作業をしていた。警視庁麻布署によると、落下したパイプは1本とみられ、長さ約1・8メートル、直径約3センチ。刺さった方の先端は薄くなっていたという。

 また工事関係者は、捜査関係者に「誤って鉄パイプを落とした」という趣旨の話をしているといい、同署は、安全対策や解体手順が適切だったのかなど、業務上過失致死容疑で調べている。

 事件現場周辺には、長時間にわたって規制線が敷かれた。同ビルで料理店を営む男性は「(警察官から)1日、店に入れないと言われて困ったなと思った」と、事故発生後の様子を振り返った。

 夕方には規制線が縮小され、現場周辺の店舗も営業の準備を始めた。同男性は「人が1人、亡くなった。本当にかわいそうだし、何もしないわけにはいきません」と言い、現場に献花する考えを示した。