20年東京五輪のボート、カヌー・スプリント会場見直し問題で、東京都の小池百合子知事の「辞退」発言に反発していた埼玉県の上田清司知事が19日、都内で行われた関東地方知事会に出席し“和解”をアピールした。終了後、両者は握手。その後の会見では知事会議前に小池氏と千葉、神奈川県知事の4者で昼食会を開いたことを明かした。

 小池氏は14日の定例会見で「上田知事から埼玉には主要な競技が来るので十分ですという話をいただいた」との酒席の発言を上田氏の意思として紹介。これが波紋を呼び、埼玉・彩湖の誘致へ正式に名乗りを上げたが、昼食会では「お互い大人の対応です。深追いはしなかった」と明かした。ボート会場については具体的な話はなかった。

 同県はこの日から彩湖を所管する国土交通省にデータ収集を依頼するなど調査を開始。来週中にも概算など、中間報告をしたい考えを示した。また、急浮上している韓国開催案については「日本の五輪ですから論外」と言い切った。

 小池氏への視察要請については「選択肢の1つになれば当然なさるでしょう。その時はご案内する」と述べた。その受け身の姿勢に、宮城県・村井嘉浩知事との熱意の差を指摘されると「復興五輪のシンボルとしてボート競技をお迎えしたい気持ちはよく分かる。既に4競技の会場がある埼玉県が何が何でもと言ったら、埼玉県民は我欲の強い人たちだと言われかねない」。その上で「彩湖も長所があるので、選択肢の中にきちっと加えることが大事」と熱量の差が垣間見えた。【中山知子、三須一紀】