2020年東京五輪・パラリンピックの会場見直し問題で東京都の小池百合子知事(64)が選出した都政改革本部の調査チームが1日、最終見直し案を示した。ボート、カヌー・スプリントは現行の「海の森」で恒久新設か仮設、または宮城県の長沼を提案。埼玉県の彩湖は含まれなかった。バレーボールは現行の「有明アリーナ」新設か、「横浜アリーナ」の代替案。水泳は現行の「五輪水泳センター」の新設に絞り込んだ。現行案でも当初案より最大440億円削減できる。都、国、国際オリンピック委員会(IOC)、大会組織委員会の4者協議も始まり、小池氏は11月中に結論を出す考えを示した。

 9月以降、候補地が乱立したボート、カヌー・スプリント会場。代替案は当初から長沼に絞っていた。同29日に公表した都調査チームの資料にも記され、10月中旬に立候補した彩湖について上山信一特別顧問は「調整池で整備が難しい。意味がないので最初から外した」と明かした。

 同月初めには小池氏が「復興五輪」との言葉を多用。世論を巻き込み長沼案が有力視され、1案絞り込みを強調していた。しかし同18日、来日したIOCバッハ会長が招致時の「ルールを変えないこと」とくぎを刺し、「海の森」を外すことが困難になった。

 「海の森」の整備費は491億円から、仮設にすれば298億円まで削減できると試算。小池氏は「当初は10月中に(都の考えを)決め打ちする方向で進めてきたが、バッハ会長との会談で、決め打ちしないでほしいということだったので、複数案を示した」と強調した。

 上山氏は新たに、都と組織委で共同の最高財務責任者(CFO)体制を敷くことを提案。9月、現在の五輪推進体制は「社長と財務部長がいない会社と同じ」と断じていた。

 さらに、招致ファイルでは組織委が負担することになっていた全体の仮設整備費約2800億円について「組織委は5000億円しかない。足りなくなると結局、都が財政負担をせざるを得なくなる。早く都で引き受け、レガシーの議論を始めた方が良い。既に1年無駄にしているが、さらに1年遅れたら、都民は高い買い物をさせられる」と組織委をぶった切った。【三須一紀】