今回は大腸ポリープの切除方法を詳しく紹介します。小さなポリープは道具として電熱線を使わずに切除します。我々はコールドポリペクトミーと呼んで、熱を加えずに簡単にポリープを切除する方法を区別して呼びます。

 (1)生検鉗子(かんし)切除

 生検検査は大腸の粘膜を鉗子という道具を用い、つまんで切除するものです。鉗子は5~7ミリ程度まで開くので、2~3ミリの大きさのポリープの組織を全て取ることができます。生検検査の所要時間は1つのポリープにつき十数秒で、非常に簡便です。

 切除した際に少量の血が出ることがありますが、できる傷口も1センチ程の小さなものなので、自然に血が止まります。元々は、がんや炎症がある部位の組織を取るための鉗子をポリープ切除に転用していました。

 2013年、5ミリ程のポリープなら切除できる専用の鉗子が発売され、多くの病院で使われるようになっています。

 電熱線でポリープを切り取る処置と比べ、治療後に帰宅してから起こる後出血という合併症が極めて少ないのがこの治療の魅力です。

 (2)コールドスネアポリペクトミー

 金属製の輪っか(スネア)を用いてポリープをつかみ、そのまま切除する方法です。海外では以前から行われていた治療ですが、日本ではこの輪っかを用いてポリープをつかんだ後に電熱線で焼き切る粘膜切除術(EMR)が一般的でした。

 こちらも2013年に新しく通電せずにポリープを取るための専用スネアが発売され、日本で急速に増えている処置方法です。5~10ミリ程度のポリープに対して行われ、電熱線を用いてポリープを取る方法に比べて時間が短くすみます。処置後の出血も少なく安全です。

 今回説明したように、小さなポリープを取るために専用の器具が進歩したことで、今までよりも安全に短時間で小さなポリープを切除できるようになっています。このコールドポリペクトミーで取れるポリープはサイズも小さいので、入院で治療をする必要はありません。

 ◆池谷敬(いけや・たかし) 1981年(昭56)9月21日、静岡県出身。浜松医科大卒。2012年から東京・中央区の聖路加国際病院勤務。内視鏡で粘膜下層を剥離するESDという手法で、大腸がんに挑んでいる。