日本財団は6日、都内で記者会見を開き、毎年1月5日を「遺言の日」に制定したことを発表した。遺言に関する正しい理解と、人生の最期について大切な人と話し合ってもらうことが目的。笹川陽平会長(77)は「遺言を書く習慣を国民に広めたい。死について考えることは、生きることと表裏一体。死に向き合えば、より良く生きられる」と話した。家族が集まる正月に自らの思いを語り、遺言書を書く機会になるとの狙いから、1月5日に決めたという。

 遺言は富裕層が残すイメージだが、相続トラブルは一般家庭でも多く、遺言には老後の資産に関する不安を減らす効果があるという。笹川会長は川柳を披露し、「遺言を あなたが書かず 誰が書く」と詠んだ。記者から「遺言を書いたのか」と聞かれると、「大変きつい質問をお受けしました」と苦笑い。「私は鉛筆で書いていて、毎年消しゴムで消しては書き直している。本当はペンで書かないとダメ。今度はちゃんと書きます」と力を込めた。

 民間による今年3月の意識調査では、「遺言を既に準備している」との回答は40歳以上でも3・2%にとどまるという。日本財団は来年1月5日に向けて、川柳の募集や記念イベントの開催などで「遺言の日」の周知を目指す。