米国の新政権で異色のタッグが実現した。ドナルド・トランプ次期大統領(70)は7日(日本時間8日)、中小企業局長に米プロレス団体WWEの最高経営責任者(CEO)を務めた女性リンダ・マクマホン氏(68)を充てると発表した。「プロレス女王」の異名を持つマクマホン氏は、社員13人のWWEを約800人の大企業に成長させ、同団体に殿堂入りするトランプ氏から高く評価された。

 プロレス番組に出演し、リングにも上がったことがあるトランプ氏が、WWEから人材を引き抜いた。「リンダは従業員13人の事業を800人超えのグローバル企業に成長させた。素晴らしい経歴の持ち主で、世界中の企業に助言をしている女性幹部の代表格と広く認識されている」と声明を発表。規制緩和による中小企業の発展と雇用促進をマクマホン氏に託す。先週に同氏と会い、政権入りを打診したという。

 プロレスとの縁は深い。頭髪がかつらと疑われたことがきっかけで、07年4月に「髪切りマッチ」に参加。トランプ氏側が勝ち、同氏はリング上で、WWEオーナーでマクマホン氏の夫ビンス・マクマホン氏の髪にバリカンを入れた。09年にはWWEを放送するテレビ番組「RAW」を買い取り、13年にはWWEの殿堂入りを果たした。

 中小企業局は各州に支局を持ち、零細企業の資金援助や指導を行っている。ビンス氏との二人三脚でWWEを米国NO・1のプロレス団体に育てたリンダ氏の手腕を買った。同氏は09年9月にWWEのCEOを辞任。10年と12年にコネティカット州で連邦上院議員選挙に出馬し、ともに落選したが、法人減税と規制緩和を訴え続けていた。

 政権入りを受けた声明で「米国の中小企業は、仕事の供給源。トランプ氏の経済チームの一員に選ばれて誇りに思う。中小企業の成長と繁栄を目指す」とコメントした。大統領選では夫婦そろってトランプ氏を支持。今年は同氏の活動に900万ドル(約9億9000万円)を提供した。

 4月にはCNNテレビのインタビューに応じ、「20年以上も前からドナルドを知っている。良いビジネスマンで、優秀な人材をそろえ、結果を残してきた。愛国者だし、良い大統領になると思う」とエールを送っていた。

 ◆WWE(ワールド・レスリング・エンターテインメント) 米国最大のプロレス団体。1963年に設立されたWWWFが前身。その後WWFに改称し、02年に現在のWWEに。テレビ番組は毎週1400万人の米国人が視聴。傘下のNXTを含め、約120~150人の選手が所属。このうち「ロースター」と呼ばれるトップ選手は20~30人。日本からは中邑真輔、飯伏幸太らが参加している。