元ロッテ監督のボビー・バレンタイン氏(66)が駐日米国大使の候補に挙がっていることが9日、分かった。ボストンのラジオ局WEEIが伝えた。バレンタイン氏はドナルド・トランプ次期大統領(70)と旧知の間柄で、既に政権移行チームと面談したという。バレンタイン氏は親日家として知られるが、外交手腕は未知数。就任すれば異色の駐日大使となる。

 WEEI電子版によると、駐日大使には複数の候補者がリストアップされ、そのうちの1人としてバレンタイン氏が浮上している。交渉は初期の段階だが、すでに政権移行チームとも面談したもようだ。WEEIはバレンタイン氏に事実関係の確認を求めたが、バレンタイン氏はコメントを避けたとしている。

 米メディアによると、バレンタイン氏はトランプ氏とは80年代からの旧知の間柄で、トランプ氏の弟ロバート氏とも親しいという。政権移行チームのメンバーでヘッジファンドマネジャーのアンソニー・スカラムッチ氏、共和党の指名争いで撤退後いち早くトランプ氏支持に回ったニュージャージー州知事クリス・クリスティ氏とも近く、バレンタイン氏を推薦したのはクリスティ氏だという。

 前日、中小企業局長への起用が決まったプロレス団体WWEの元最高経営責任者(CEO)リンダ・マクマホン氏は、現在、バレンタイン氏がスポーツ部門の部長を務めているセイクリッドハート大学の理事を務めている。

 また、米メディアはバレンタイン氏は南カリフォルニア大出身で、安倍晋三首相が77年に成蹊大を卒業した後、2年間、南カリフォルニア大に留学していることから「バレンタインは安倍晋三首相と友好関係にある」と伝えている。

 トランプ氏は昨年、キャロライン・ケネディ駐日大使について「キャロラインは安倍氏に飲まされ、食わされ、日本が望むことを何でもするようになった」と批判。大統領になったときは著名投資家のカール・アイカーン氏を駐日大使に起用し、強硬姿勢で臨むと表明していた。米メディアは「新たな型破りな人事」と驚きをもって伝えているが、日本にとって強硬派のアイカーン氏より親日家のバレンタイン氏の方がずっといいかもしれない。

 ◆トランプ流人事 トランプ氏は7日(日本時間8日)、中小企業局長にプロレス団体WWEの最高経営責任者(CEO)を務めたリンダ・マクマホン氏を充てると発表。国防長官には「狂犬」の異名を取るジェームズ・マティス元中央軍司令官を指名。マティス氏は初の海兵隊出身の国防長官になる、このほか労働長官にはハンバーガーチェーン大手カールスジュニアのCEOアンドリュー・パズダー氏を起用。中国大使には習近平主席の「旧友」テリー・ブランスタド・アラバマ州知事を指名している。