日本外国特派員協会は19日、「過労死にストップを」というテーマで記者会見を都内で開き、日本企業の長時間労働撲滅を目指して活動する3団体の代表者3人が出席した。

 冒頭でHARES社の西村創一朗CEOが、日本における過労死の現状を説明。業務を原因とした過労死は微減だが、過労自殺を含めた精神障害の労災請求件数は増えていることを数値で示した。

 続いてワーク・ライフバランス社の小室淑恵社長が、日本の長時間労働の現状を受けた働き方改革について解説。出産可能年齢の女性が希望を持てる法律の整備や、40~50代男性の夕方退社で仕事と介護を両立させることなど、課題を挙げた。

 広告大手の電通で2015年12月、新入社員の女性(当時24)が過労自殺したことについて、外国人記者が質問。「不思議に思うのが、なぜそのような社員が辞めないのか。もしそれだけ厳しい状況で仕事をしているなら、その時に仕事を辞めて、転職することを日本の会社員は選ばないのか」と聞いた。

 小室氏が回答し、「それは他社も同じぐらい長時間労働だから。同じレベルの日本企業でエキサイティングな仕事をしようとすると、同じ環境に入ってしまう。企業を選択して済む状況ではない」と話した。

 昨年12月に電通社長が引責辞任を表明したことに触れ、「経済界には昨年まで、過労死が経営者の辞任につながる問題という認識がなかった。電通社長の辞任で、それが明確に示された。今年の(各企業の)温度感は変わってきている」と、自身の見解を語った。

 父親の子育てを支援するNPO法人「ファザーリング・ジャパン」の安藤哲也代表も会見に参加し、団体の活動内容を紹介した。