東京都の小池百合子知事は20日の定例会見で、土壌汚染問題を抱える豊洲市場の用地購入を巡る住民訴訟に関し、購入当時の責任者だった石原慎太郎元知事に賠償責任はないとしていた従来の都の方針を見直すと表明した。

 ◆豊洲移転問題と住民訴訟 1935年(昭10)開場で老朽化した築地市場を巡り、都は90年代前半、現地で建て替える再整備を進めた。しかし、営業を続けながらの工事は工費が高騰し工期も長期化するため断念。都は01年、築地に近く、まとまった用地が確保できる豊洲移転を決めた。

 豊洲では、東京ガスが50~70年代に石炭ガスを製造しており、環境基準の4万3000倍のベンゼン、860倍のシアン化合物が検出された。一連の土壌汚染対策費は849億円。移転反対の仲卸業者ら41人は12年5月24日、土壌汚染を知りながら、都が11年3~4月に土地を578億円で購入したのは違法として、石原元都知事に578億円を請求するよう都に求める住民訴訟を起こした。