東京都議会は22日、豊洲市場(江東区)の移転問題を検証する調査特別委員会(百条委員会)の設置を、全会一致で決定した。

 昨年以降、共産党が一貫して設置を求めてきたが、最大会派の自民などは及び腰だった。しかし、小池百合子都知事がこの問題を7月の都議選の争点に位置づける意向を示し、慎重ムードは一変。世論の関心も高く、都議選を控えて消極的だと思われたくない各会派は「雪崩現象」で百条委設置賛成になびいた。

 百条委は偽証の際の罰則を定め、強い権限を持つ。特別委員会への参考人招致が決まっている石原慎太郎元都知事や、土地の売買交渉を担当した側近の浜渦武生氏の証人喚問で、具体的な証言を引き出せるかが焦点だ。日程は明日24日に協議する。この日開かれた初の委員会後、桜井浩之委員長(自民)は「スピード感を持ってやりたいという議会の総意。できる限り早めに結果を出したい」と強調した。都議会への百条委設置は、浜渦氏が呼ばれた05年以来、12年ぶり。

 小池氏は本会議の施政方針演説で、豊洲問題に関し「都政の透明化が問われている。都民の判断に資する情報公開を進め、都民の意見も参考に総合的に判断する」と述べた。本会議後の取材で、移転断念の可能性を問われると「科学的に再調査しており、今は結論を出す時期ではない」と含みを残した。百条委については「(土地売買で)瑕疵(かし)担保責任の部分がどう進んだか、やりとりを見守りたい」と述べた。

 一方、来月3日に会見を開く慎太郎氏はこの日の取材で、百条委への対応には触れなかった。

 ◆百条委員会 地方自治体の事務に疑惑や不祥事が発覚した際、地方議会が事実関係を調査するため、地方自治法100条に基づいて設置する特別委員会。関係者の出頭や証言、記録の提出を要求できる。設置には本会議で出席議員の過半数の賛成が必要。