1月に読売テレビを退社し、愛妻の命を奪ったガンの撲滅や難病対策を掲げる一般社団法人を立ち上げ、講演活動をしている元読売テレビ・アナウンサーの清水健氏(40)。日本維新の会(大阪維新の会)が、10月の堺市長選へ出馬要請する動きが判明した。清水氏は出馬を完全否定したものの、依然、その火だねはくすぶっている。

 維新は、清水氏が読売テレビに在籍していた前回13年の堺市長選でも、立候補を打診し、断られている。かつてフラれた恋人に再アタックしてまで、維新が、堺市長選にこだわるのには理由がある。7年半前までさかのぼって、禍根を残しているのだ。

 橋下徹氏が大阪府知事だった09年、当時は府の幹部職員だった竹山修身市長が堺市長選へ出馬した。橋下氏が竹山氏の応援に入った結果竹山氏が堺市長選に当選した。ところが竹山氏の堺市政が始まると、橋下氏の提唱する大阪都構想へ反対の姿勢を見せ距離を置くようになった。これに橋下氏ら維新は激怒。13年の前回堺市長選では、打倒・竹山氏を目指し、清水氏に打診したものの拒否。代わって新人を候補に立て、橋下氏、松井一郎府知事らが総力戦であだ討ちに走った。

 橋下氏は当時、大阪市長職にあり、「取材はなくなるまで受ける」姿勢を貫き、定例会見やぶら下がりの取材対応は欠かさなかったが、当時の堺市長選の期間中には、会見予定をキャンセルしたこともあった。

 「悔いを残したくない。政治家として悔いを残さないように行かせてもらいます」。記者団にお願いし、応援に出たが、竹山氏の牙城は崩せず、維新は敗れた。維新から見れば「裏切り者」の竹山氏に挑み、返り討ちにあったようのもの。

 この流れからして、維新にとっては、今回の堺市長選では雪辱しか頭にない。ただ、手厚く地元を固めている竹山市長は相当に強力で、打破するには知名度、イメージが必須。そこで、息子を抱えてけなげに前進する清水氏へ再度のラブコールにいたったようだ。

 維新側は4月までに擁立リストを決めるとしており、清水氏に何度拒まれようとも、その名前を消していない。橋下氏が電撃出馬-なんて「超ウルトラC」も含めて、堺市長選から目が離せない。