学校法人「森友学園」の籠池泰典理事長が10日夕、一連の問題が発覚後初めて、自ら運営する幼稚園の教室で記者会見を開いた。国有地払い下げや、補助金申請を巡る疑惑の説明を避け、国会で追及する野党や報道への批判をくり返し、約80分に渡り“恨み節”を展開した。

 まずは約26分、質問を受け付けず、一方的に小学校建設へいたった経緯、自らへの教育への思いなどをしゃべり続けた。

 校庭にゴミが埋められたなどとする問題には、自ら土砂などの搬出は報道や国会での追及で遅れたと先んじて説明。「いつの頃からか私の信条のこと、家族の身上のことが問題の中心となって、報道されるようになった。(小学校開設が)これからというときに爆弾がさく裂し、私は袋だたきにあった」と語った。

 3月10日のこの時期を「ここまで4年かかり、本来なら、学校の備品などが入れられている時期」とも言い、現状を「予想外の展開になった」とした。

 マスコミの姿勢もやり玉にあげた。籠池氏や保護者らの話を聞こうと報道陣が追い回していたとし、9日には、大阪府の現地調査に立ち会うため、豊中市の小学校用地を訪れていたが、帰り際にも、籠池氏が乗った車を報道陣が取り囲み、説明を求めた場面があった。これについて「私の車も傷ついた」とし、その後も「パパラッチのように追い掛けてきて、警察署に避難した」と話した。

 国会で、自らの問題が取りざたされていることに触れ「北朝鮮のテポドンが発射されているのに、それよりも私の問題が…。報道も私の写真が指名手配犯のように毎日のように出ております」と続けた。

 国の次は、大阪府への批判も噴出。9日に行われた大阪府による現地調査の後、府側は「籠池氏の妻が職員を執拗(しつよう)に撮影するなどして、すぐに打ち切らざるを得なくなった」と説明していたが、これに対しても反論。「執拗(しつよう)に」ではなく「家内がちょっと写真を」撮ったとし「(夫人が職員に)お前ら、と言った事実はない」とした。

 府に対しては「大阪府に対して提出した資料がどうして、こうも流れ出るのか。コンプライアンスの面であり得ないこと」と痛烈に批判した。

 また、9日の時点では「学校を開設させていただきたい」と訴えていたが、たった1日で認可申請取り下げへ急転したが、急転という言葉に敏感に反応。「そんなことはないですよ!」と語気を荒め「(小学校に入学予定の)子供の行く末を考えた苦渋の決断。何で見守ってくれなかったのか」と、目を充血させ、顔を赤らめて話を続けた。

 また、この日の会見には、一部で「絶縁」と報じられた長男の佳茂氏も同席。「絶縁とか書かれていますけど、父も母も戦っている。一大事」として、約1時間20分の会見を終えて、籠池氏だ退席した後もしばらく残り、父の籠池氏が「何億ともなる負債」を抱えることになった、などと訴えていた。