豊洲市場移転の経緯を検証する、東京都議会の調査特別委員会(百条委員会)が11日、都議会で始まり、まず福永正通・元副知事と大矢実・元中央卸売市場長に対する証人喚問が行われた。

 大矢氏は、豊洲移転に関する石原慎太郎元都知事とのやりとりについて、石原氏が当初、市場移転問題を「あまりご理解いただけなかった」ことを明かした。

 築地市場の再整備が困難との認識を伝え、市場を視察してほしいと伝えると「そんなひまはない」と、そっけなかったという。

 1999年(平11)9月1日、「防災の日」で公務に臨む前の午前4時に、視察を要請したところ、「そんなに(朝が)早いのか」とぼやきながら、視察に応じたという。

 当日の視察は、時間が短く業界側との話し合いも持たれなかったが、視察の結果、石原氏は「(築地は)古くて、狭くて、危険だ」と述べ、「きたないとも言った」という。その上で、石原氏は「何とかしないといけない。積極的に進めていく」と応じたという。

 基準値を大幅に超える有害物質が検出された豊洲市場への移転の是非に関しては、大矢氏、福永氏ともに、安全性を確保した上でなら、移転が望ましいとの見方を示した。

 大矢氏は「市場の安心安全は絶対条件」とした上で、「豊洲に移転先を決めたことは間違っていなかった。現実問題として有害物質が出るのは、日本の科学技術をもって封じ込めれば、十分機能すると思う」と述べた。業者の意向としても「ぜひ移転したいという人が大勢ではないか」と指摘した。

 福永氏も「科学的に安全なら、市場を開設することを願う」と述べた。

 この日夕方からは、東京ガス関係者への証人喚問も行われる。