民進党の前身、旧民主党のゆるキャラ・民主くんが、「政治の殿堂入り」を果たすことが21日、分かった。

 党名変更から1年。“再就職先”が注目される中、日本議会政治の歴史的資料を所蔵する憲政記念館(東京都千代田区永田町)に寄贈されることが決まった。

 党側は、党PRの「功労者」でもある民主くんの処遇に心を砕き、記念館側と交渉。先ごろ、「ぜひ」と快諾された。

 大西健介青年局長は「民主党は1度歴史にして、新たな出発点にしようという思いから党名を変えた。それなら、民主くんも歴史にすることに意味があるのではないかと感じた」と経緯を話す。

 民主くんは民進党のゆるキャラ「ミンシン」のデザイン考案者に副賞で贈られるはずだったが、辞退された。廃棄と報じられると「かわいそう」などの声が殺到。党は対応に追われた。

 憲政記念館の担当者によると、政界初のゆるキャラという点が評価されたようだ。民主くんの誕生後、公明党の「コメ助」や共産党の「カクサン部」など、各党にもキャラクターによるPR戦略が拡大した。

 大西氏は「民主くんは、政界ゆるキャラの道を切り開いた先駆け。功績は大きい。これ以上ない行き先が決まりました」と話した。

 憲政記念館は、著書を含め約2万点の資料を所蔵。政党のマスコットなども含まれるが、いわゆる「ゆるキャラ」はもちろん初めて。早ければ、5月の大型連休明けから展示される。

 党では、ミンシンが民主くんを連れて同館に託す「引き継ぎセレモニー」も計画している。【中山知子】

 ◆憲政記念館 1970年(昭45)に議会開設80年を迎えたのを記念し、議会制民主主義の認識を深めることを目的として設立され、72年3月に開館。議会政治に関する展示施設で国会議事堂に隣接する。憲政の歩みを関係資料、写真などで見られる。「憲政の神様」と呼ばれる尾崎行雄の足跡をしのんで、遺品・著作・書跡・写真など展示。入場無料。