韓国の朴槿恵(パク・クネ)前大統領(65)が21日、容疑者としてソウル中央地検に出頭し、収賄容疑などで取り調べを受けた。少なくとも13の容疑が持たれており、取り調べは深夜まで続いた。容疑を全面否認したが、10日に憲法裁判所に大統領職を罷免され、不起訴特権を失っており、少なくとも在宅起訴は免れない見通しだ。大統領の座を追われて11日。刑事被告人に転落する。

<専門家の目>

 小此木政夫慶大名誉教授(現代韓国朝鮮論) 韓国の政治は「制度圏」と「運動圏」の2つの行動原理で動いています。「制度圏」は政治主導者である大統領に忠誠心を示す私的なネットワークです。歴代の大統領では親族でしたが、父母のいない朴槿恵氏の場合は家族のような形で崔順実が入った。「運動圏」は市民や学生の社会正義を追求する原理主義的な運動。「制度圏」の疑惑、不正が明らかになり、「運動圏」の怒りが爆発したのが毎週土曜日のデモでした。

 日本は代議制民主主義です。国民は選挙がないときは直接行動することはしませんが、韓国には根強い抗議や抵抗の文化があり、参加民主主義です。「運動圏」がデモを組織する。森友学園のような疑惑が韓国で起これば、毎週末、激しいデモが起こるでしょう。

 いい悪いではなく、政治スタイルの違いです。

 今回、韓国は「制度圏」と「運動圏」、所得の格差による上下の分断…など社会的な亀裂の大きさを見せました。左右対立もあります。左派にとって盧武鉉大統領が右派の追及で退任後、親族の不正を暴かれ、09年に自殺に追い込まれた恨みのようなものを持っている。弔い合戦で朴槿恵たたきをした側面もあります。今回、保守派に怨念が生まれた。左右の亀裂は大きくなっています。