睡眠不足が肥満のリスクを17%上げ、糖尿病を発症するリスクを39%も増加させることが、カタールのウェイルコーネル医科大学の研究で分かった。

 慢性的な睡眠不足に陥っている人の72%が肥満という。睡眠不足が血糖値を上昇させ、糖尿病を悪化させている可能性が高いということもわかった。

・睡眠不足で血圧も上昇

 睡眠不足が続くと、血圧も上がりやすい。血圧が上がれば動脈硬化が起きやすくなるので、脳卒中や心臓病にかかりやすくなる。睡眠不足を防ぐためには、脳内神経伝達物質のメラトニンという睡眠を誘発させるホルモンが大事である。メラトニンを増やすためにはどうすればいいか。

・「太陽」と「感動」が大事

 1つは、朝、太陽に当たること。太陽に当たると、セロトニンという幸せホルモンが出る。感動するのも大事だ。セロトニンが夕方くらいからメラトニンに変わっていく。そして、夜眠くなるように仕掛けられているのだ。体内時計は1日25時間で、周期を作りやすい。1週間も放置すると、7時間も時差ができる。夜11時になったのに、夕方みたいに感じて眠りにくくなるのだ。朝、太陽に当たると、時差が解消される。

・青汁、魚が良い

 2つ目は、食事。メラトニンを増やす食品の代表はケールだ。青汁によく使われる菜っ葉である。他には、トウモロコシ、赤みの肉や魚、大豆、乳製品などがある。

・メラトニンで若返り

 このメラトニンが最近、老化予防に良いといわれている。発がんの抑制効果もあるという研究論文も出ている。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日生まれ、東京都出身。東京医科歯科大医学部卒。長野・諏訪中央病院院長で「健康づくり運動」を実践。脳卒中死亡率の高かった長野県の長寿日本一に貢献。04年からイラク支援を始め、小児病院へ薬を届けたり北部の難民キャンプ診察も続けてきた。文化放送「日曜日はがんばらない」(毎週日曜午前10時)出演。