つなぎ融資名目で計6800万円を集めたとして、出資法違反の疑いで熊本県警から国際手配されていた山辺節子容疑者(62)が19日、潜伏先のタイから空路移送中の機内で逮捕された。“つなぎ融資の女王”の異名を持ち、38歳を自称していた山辺容疑者はタイ出発時、ノースリーブにショートパンツ姿。羽田空港経由で熊本空港に到着したときはグレーのパーカを頭からかぶっていたが、ナマ足をのぞかせていた。調べには素直に応じ、「その通り間違いありません」と容疑を認めているという。

 「東芝やソニーなど大企業のつなぎ融資として出資するから絶対損しない」「元本を保証した上で出資額の25%を配当する」と知り合いの男性2人から6800万円を預かった同容疑者は、同様の手口で70人以上から計7億円以上を集めていたとみられる。金の一部は交際相手のタイ人男性(31)の家購入資金に充てられたほか、ホストクラブ通いなどで7億円のほとんどを使ったとされる。

 県警は1月26日、逮捕状を取ったが、同容疑者は1月20日にタイに出国していた。同容疑者はタイをこれまで計15回訪れており、タイ警察の調べに「私も被害者です」と話していた。出発時に報道陣に心境を尋ねられると、「複雑ですね」と返答した。同容疑者は熊本地震で大きな被害を受けた益城町出身。町には「姫御殿」と呼ばれる2階建ての豪邸が立つ。結婚し、子ども2人をもうけたが、離婚。熊本市内でスナックを経営し、会社社長や地方議員と交友関係があったという。