男性20万人、女性29万人の食生活と健康に基づく中国の研究結果が、2015年7月、イギリスの医師会雑誌に発表された。

 唐辛子を使った辛い食べ物を日常的に食べている人は、そうでない人に比べて、死亡リスクが14%も低いことが明らかになった。おそらく、唐辛子の辛味成分であるカプサイシンの、発汗効果や脂肪燃焼効果で肥満を少し予防する効果があるのかもしれない。カプサイシンが持っている抗酸化効果による、動脈硬化の予防などが影響しているのではないかと考えられている。

・激辛好きは食道がんに注意

 代謝を良くし、発汗することで循環を良くして、体を元気にし、若々しくしてくれる可能性がある。唐辛子そのものが、抗酸化力が強いので、細胞が傷つき、がん化することを防いでくれる可能性もある。しかし、激辛を食べ続けている人に食道がんが多いというデータがあるので、ほどほどの辛さにしておくことが大事だと思う。

・ショウガ、わさび、ネギ等の「薬味」は大切

 唐辛子は、アディポネクチンという動脈硬化を予防してくれる物質の分泌を刺激してくれる。アディポネクチンの分泌を刺激する食品は、唐辛子の他に、ショウガ、わさび、ネギ等がある。

 薬味といわれるものは、味を濃くするだけでなく、字のごとく薬のような効果を示すと考えていい。蕎麦(そば)屋で薬味を使わない人もいるが、できるだけ薬味は使った方がいいということだ。唐辛子を使ったキムチやカクテキは、さらに発酵させていることが魅力。発酵食品は腸の機能を高め、免疫力を上げる。キムチやカクテキに注目。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日生まれ、東京都出身。東京医科歯科大医学部卒。長野・諏訪中央病院院長で「健康づくり運動」を実践。脳卒中死亡率の高かった長野県の長寿日本一に貢献。04年からイラク支援を始め、小児病院へ薬を届けたり北部の難民キャンプ診察も続けてきた。文化放送「日曜日はがんばらない」(毎週日曜午前10時)出演。