東京都の小池百合子知事(64)は21日の定例記者会見で、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(79)が同日出版した「遺書」(幻冬舎)の中で小池氏の批判を書き連ねていることについて「招致からご尽力されてきたわけですから、『遺書』などと言わず、これからもお元気で頑張っていただきたい」と笑顔で話した。

 森氏は著書で一章を裂き、「小池流見直し」は「政治的パフォーマンス」と批判している。小池氏は「残念ながらまだ拝読致しておりません」とまずはジャブを繰り出した。第4章全体で小池氏の批判が続くが「第4章まるまる? 大変お気に留めてくれていただいていることは光栄なこと」などとした上で「すでに読んだ方から『いろいろ勘違いがあるのでは』と聞いている」とチクリ。「後生に残るものなら確認が必要と思っている」とした。

 前日、米タイム誌から「世界で最も影響力のある100人」に日本から唯一、選出されたことについて「大変光栄。イダルゴ・パリ市長から推薦していただいた。パイオニアと言っていただき、大変励みになる。まだ改革途上。よりしっかり、都民目線で分かりやすい都政の実現を目指していく」と話した。

 小池氏は18日に小泉純一郎元首相、自民党二階俊博幹事長らと東京・赤坂の日本料理店で会食した際、同じ店にいた安倍晋三首相とも「同席」した。小池氏は「これだけ多くの店がある東京で奇遇だった」と煙に巻いた。武部勤氏の誘いで出席したところ「えらいメンツだった」とも話した。

 7月の都議選に向け、小池氏の都民ファーストの会と都議会自民党が対立する構図の中で、安倍首相や二階氏との会談は臆測を呼ぶ。小池氏は、安倍首相からは「『小池さん、お手柔らかに頼みますよ』と言われた」と明かした。二階氏とは「都議選後の協力態勢について、どうするか話した。五輪は国と連携していかなければいけない」とした。都議会自民党と自民党本部は別の組織との認識か、と問われると「ノーコメント」とかわした。

 民進党に離党届を出した長島昭久衆院議員が立ち上げる勉強会に、旧みんなの党の渡辺喜美氏が顧問として参加する。都民ファーストの会にも旧みんなの党系の参加者がいる。これが国政への布石か問われると、「えへへ」と笑顔を見せたが「これで国政への布石というのは読み過ぎ。都政に集中して都議選に力を注ぐ」とした。

 豊洲市場移転延期に伴う損失をめぐる住民訴訟については、「早く移転しろという人たちは、食の安全意識が私とはちょっと離れている」とした上で、「訴訟というなら受けて立つ」と話した。