将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太4段(14)が羽生善治3冠(46)を破った。インターネットテレビ局Abema(アベマ)TVの番組企画「藤井聡太四段 炎の七番勝負 第7局」が23日放送され、先手の藤井4段が111手で、羽生3冠との接戦を制した。

 デビュー以来無傷の13連勝を飾るなど、将棋界に驚きと新風を巻き起こしている最年少棋士、藤井4段。その素顔は学業と対局を両立する以外は、ごく普通の中学3年生だ。両親、兄と暮らす愛知県瀬戸市の自宅では、いつもリラックスした表情で将棋盤と向き合う。

 将棋を始めたのは5歳の時。祖母に教わったのがきっかけだった。「祖母は銀が横に動いてしまうような初心者」と笑う。だが、その後も大人の祖父母に勝てるのがうれしくて、続けてきた。幼稚園時から四則演算を使う算数パズルを解き、塾に通うことなく地元の有名中に合格した。その「頭脳」は学業にも生かされている。

 日課は、新聞を読むこと。朝日新聞を1面から裏面までくまなく目を通すという。「テレビは週に1時間ついているかどうか」。得意科目は社会科で、小学時には自己紹介欄に、最近関心があることとして「尖閣諸島の問題」「南海トラフ地震」「原発」と書いた。といって、運動が嫌いなわけではなく得意の陸上50メートル走の自己ベストは6秒8。学校生活をエンジョイしながら、プロ同士の息詰まる真剣勝負をこなすスーパー中学生だ。

 昨年10月1日、14歳2カ月の史上最年少でプロ入り。62歳差対決となった加藤一二三9段(77)とのデビュー戦については「加藤先生に教えていただいて、これからプロでやっていくということを強く感じた」と話した。以来、ここまで負けなし。屋敷伸之9段(45)の持つ18歳6カ月(棋聖)を抜く「最速タイトル」を予想する将棋関係者も多い。14歳は、夢の「名人を超す」に向かって突き進んでいる。