オーストラリアのシドニー大学の研究チームが、45歳以上の中高年約23万人のライフスタイルと死亡率の調査をした。一番よくない生活習慣は、「喫煙」「運動不足」だが、「すわりっぱなし」や「睡眠の過剰や不足」「食生活の乱れ」もよくないことがわかった。

 これらの要素がいくつか重なった時、死亡リスクが高くなることがわかった。最悪のパターンは、「すわりっぱなし」と「寝過ぎ」と「食べ過ぎ」という動かない系が重なった人だということがわかった。検査よりも生活習慣を変えることが大事だ。

・デスクワークは要注意

 アメリカの男女12万人を対象にした調査では、1日6時間座る生活の人は3時間の人と比べると15年以内に死ぬ確率が40%高いという驚きの数字も出ている。デスクワーク中心の仕事をしている人は、立ち仕事をしている人に比べて心臓病になる確率が2倍になるというデータもある。

・歩くのが遅いと認知症のリスクが高い

 東京都健康寿命医療センター研究所によると、歩幅が広い人、歩くスピードの速い人の方が、認知症になりにくかったという。

・仕事中のすわりっぱなしを防ごう

 (1)簡単なミーティングは立ってやるのもはやってきた。5~10分足踏みしながらの会議はおすすめ。結論も早くよいものがでるという話もある。

 入院病棟の申し送りは、ほとんどの病院で立ってやっている。理にかなっている。

 (2)昼食後は2分歩く。血糖値スパイクは心筋梗塞、脳梗塞、がんになりやすくなる。食後に血糖値が急激に上昇する人がいる。2分歩くだけでも、この血糖値スパイクを防ぐことができると言われている。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日生まれ、東京都出身。東京医科歯科大医学部卒。長野・諏訪中央病院院長で「健康づくり運動」を実践。脳卒中死亡率の高かった長野県の長寿日本一に貢献。04年からイラク支援を始め、小児病院へ薬を届けたり北部の難民キャンプ診察も続けてきた。文化放送「日曜日はがんばらない」(毎週日曜午前10時)出演。